キャプテン・イッシー

第21話 「寒冷前線」 2003.Jan.21

 場所は神奈川県江ノ島沖。 OPディンギーの練習とコーチの為のコーチング講座で、教習中の出来事だった。
 デンマークからコーチを呼んで実技教習中、富士山の方から前線らしい雲が迫ってきた。 しかし、教習に夢中でその雲に注意を払った人は 数人しか居ない。 私の懸念を話したら、誰かが「そうだね。引き揚げさせましょう」ってことになり、メガフォンで叫んで回った。
 段々とあたりは暗くなり始めた。
 港外に数隻残して全艇が江島のハーバーに入り込んだ頃、猛烈な風と雨に叩かれ鳥肌が立った。  その後この雨が霰となって船体を叩いた。
 あと数分引き揚げるのが遅れたら、救助船は二隻や三隻では間に合わなかったでしょう。 
 「なに? 二や三ではどうもならない?」
 「はい、恐らく 四(死)に至ります」