2001.Apr.25〜

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今日の写真は、情熱の恋とは対照的な、静寂のオリハルコンです。 (潮が引いたら数マイルに渡り砂州が顔を出す、大自然を感じた島陰の落日です。)   

7/14受信

日本は暑いと思いますが、カナダも暑いです。 日射しが強く、半袖のシャツでは日焼けし過ぎるので、長袖
を着たりしています。
今、ナナイモのハーバーには入らず、対岸の自然公園になっている島の入江に、 沢山のヨットに混じってア
ンカリングしています。 悪名高きシーモーを越えて、(越えさせて頂いて)キャンベルリバーに着いて、 話に
は聞いていましたが、着ている服を一枚脱ぎ捨てるくらい、暖かくなりました。 海には、心地よい風がずっと
吹き続けています。 少し風が強くなっても、なぜかアラスカの様な威圧感は全然ありません。 どこの入江に
も、海面にも、ヨットが沢山います。 どこにいっても、太陽がきらめき、人々はフレンドリー、スタイルの良い女
性達、数キロも続く潮の引いた入江の岩場には、無限に近い数の、大きなオイスター。
カナダの多島海が、アラスカのそれとこんなに違うとは、、。正反対といっても良い 感じがしています。 昨日
も、逆光の夕陽を受けた沢山のセールの軍団が、所狭しとアンカリングしている 僕達ヨットの間を縫ってスピ
ンやジェネカーの花を咲かせて目の前を通り過ぎて行き ました。どうやら、平日のアフターファイブレースの
様でした。
とにかく、心地よい風と太陽、きらめく波間、その中の沢山のセール、ここはそんな 所です。どこにいっても、
どっちを見てもヨットが必ずいます。 それもそのはず、このあたり、バンクーバーとシアトルだけで、日本の
ヨットを全部 合わせた数より多いヨットが浮いているというから納得です。 このロケーションに、この気候、
沢山の入江、外に廻れば太平洋のうねりも味わう事 ができ、人々の生活と染み付いたマリンライフと、環境。
ここはヨットにとって楽園といっても良いと感じました。 しかしこの先、人気の海は皆こんなのかと、少し戸惑
ってもいます。 アラスカで越冬し、先を急がず、自分なりに時間をかけて廻って来てほんとに良かっ たと痛
感しています。

ところで、話は変わりますが、グレーシャーベイでオリハルコンが氷にぶつかって、 氷に青い船底塗料が一
点、着いた映像を船長が見て、「氷魂に書いたラブレター」 と、船長がメーリングリストで表現して頂いた事
がありましたが、、、。 純なオリハルコンも、少しは場数を踏んだのか?だいぶ大胆になりました。 あの時
の可愛いラブレターがなつかしいです、、。 今日はそのお話をしたいと思います。

アラスカでは、沢山浮いている美しい氷の中の一つに恋をしてしまったのですが、 カナダでは、迫力ボディー
のでかい流木でした。 それまでも、流木はよりどりみどり、沢山あったので、ずっとワッチしていたのですが、
シーモーへの機走中僕がちょっと目を離し、キャビンで探し物をしている時をオリハルコンは見のがさず、中
でもひときはグラマーな流木に、白羽の矢をたてたのでした。 ゴ〜ン!!ドドン!と、2回の凄い衝撃。
今度は、一抱え以上もある太い流木にオリハルコンは思いを伝えているようでした。 船首で一度ぶつかった
オリハルコンの行動に答える様に、沈んだ反動で流木が浮き上がって、もう一度、ド〜ン! オリハルコンは、
太い流木に乗り上げて、、、。 流木は浮力があるので、まるで恋愛映画で抱き締めあうの恋人達の様に??
なかなか 離れてはくれません、、。 船底は?キールは、、! 気になる僕達を他所に、全速後進にしても2人
はなかなか 離れてはくれません。 しかしようやく、オリハルコンも抱いていた手を緩めたのか、旅を続ける事
ができる様になりました。 別れ際に、彼女(丸太)を見てびっくり。 そこには、アラスカの時の氷とは比べ物に
ならない、オリハルコンの、情熱の表現。 丸太はオリハルコンの青(船底塗料)でベタベタに染まり、激しかっ
た恋を物語っていたのでした。
「アッチャ〜!」思わず僕は目を被ってしまいました。 オリハルコンも、大胆になったもんだ〜。 いやいや、
大胆になったのではなく、きらめく太陽に、僕の気が弛んだことへの警告以外の、何ものでもありません、、。
これからも気を引き締めて、航海を続けます。 所で船長、バンクーバーから80マイル?くらいの所に、ポート
タウンゼントという 古い港町がある様です。丁度、シアトルの手前の岬のさきっぽにある街で、アメリカ なん
ですが、そこには、木造船の、とても優れたシップヤード、船具屋、セールメー カー等、街は小さくても、名の
ある老舗がめじろ押しという噂です。
「愛と青春の旅立ち」という映画の舞台にもなった街と、「地球の歩き方」に載って いました。それは別として、
僕は行ってみようと思います。 もし船長が行かれるのなら、日にちを合わせますが、、。
            ”オリハルコン” 山下 健一   

 

CoveはFurry Coveで空中に突き出た倒木に、できたお花畑、、、。

 

写真のpoleはAlert Bayです。

 

写真のhouseはAlert Bayです

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

2001.6/30 受信

 

田先生ありがとうございます!

> 碧航くん、おたんじょうびおめでとーぅ☆ > きょうは栗谷小学校で、6月うまれのひとの おたんじょうびかいを しましたよ。
> 碧航くんは、きゅうしょくのせんせいと おなじたんじょうびです。
> きのうはどんな1日をすごしたのかな?(*^_^*)  

 昨年の誕生日は、洋上でホットケーキでお祝をしましたが、今年もホットケーキを 焼きました(こちらのケーキは、甘過ぎて碧航は食べません)。 昨年の誕生日は、梶田先生がメールで皆さんに「今日は碧君の誕生日ですよ」と、連 絡して下さいました。昨年は海の上、今年はCampbell River、ここはリゾートの様な 街(?)で、とてもオシャレ、、、と言う感じです。夕食はレストランで、、、お祝 しました。
優美は、碧にとんがり帽子を色画用紙で作り、船の外に[Happy Birthday to AOYUKI] と書いた紙を飾っていました。 碧へのプレゼントは、「釣り竿です」最近興味を持ってきた様で、時々『釣りをしよー と』言うのですが、今まで釣り竿なんて買った事等なく、どんなものが良いのか全然 分りませんが、、、一応本人は喜んでいた様です、釣れれば良いのですが、、、。私 達は、トローリングでシーラ、カツオ、小さなマグロは釣った事があるのですが、基 本的には釣りは知りません。
それにしても子供2人、身長体重等測っていませんが、大きくなりました!!

> 栗谷は暑い日々が続いています。
> 梅雨に入ってからお天気も落ち着かず、大雨が降る日もあります。
> 今日はとっても気持ちのいい風がふいていました。
> こんな日を「さつき晴れ」というそうですね。
> 旧暦の5月が今ごろだったと聞いて納得・・・。
> 山下さんは太平洋を一周する間に、いろいろな気候と出会うのでしょうね。
> 今後もステキな旅となりますように・・・☆

そうですね、去年は夏らしい夏がありませんでしたから、2年ぶりの夏を楽しもう と思います。 日本は今梅雨入りで、落ち着かないお天気の様子ですが、私達はやっ とカナダに入り雨から解放されました。先日ケチカンに交換先生で行っている方が、 ケチカンの子を日本に連れて行くと日本は梅雨、雨の多いケチカンに住んでいる子で すが、「日本の雨は粒が大きい」とびっくりしていた様です。私も同感です。  アラスカの冬も思ったより寒くなく、まだ三倉と比べれる位で、夏もそんなに暑く ないので、日本よりとても住みやすいのでは、、、と思います。でもカナダに来て、 カナダはもっと住みやすそうと思いました、、、。まだカナダの夏は知りませんが。  ここCampbell River で後2日程ゆっくりして、ここの近くを1週間程かけ船で移 動しながら見て廻り、10日後くらいにNanaimoにと思っています。ここを出港した ら今度のメール接続は、Nanaimoになると思います。   

  それでは又、、、。  オリハルコン  山下優子 ------------------------------------------

 

僕がオリハルコンを買いに横須賀に行ってた時、カナダに向けてひとり出港して行ったヨット、<下天号> 2艇で泊まった入江から一足先に出港し、入江の奥に残った下天号を写しました。

6/19受信

 

ビショップベイ(無人の入江の温泉につかる碧航)  

 

無人島の入江にて。(フーリーコーブ) 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 皆さんお変わりありませんでしょうか? オリハルコン 優子です。  
 Purince Rupertを出港し、今度メールの接続はいつになるか分りませんので、何日 かに分けてメールを書か
せて頂こうと思います。

6月4日

 今私達は、Bishop Bay(58°28,N 128°50,W)と云う所に停泊中です。

ここには無人の温泉があり誰でもが好きな時(24h)に入る事が出来ます。私達はここに昨日(6月3日)の19時

頃つき、桟橋に船を止め食事をし、22時うす暗くなった頃お風呂に入りに行きました。セメントの壁と屋根がある

屋内と外にも湯舟があり、屋内には天井からロープが何本もぶら下がり、子供達はそれでターザンごっこをして

遊んでい ました。お風呂は少しぬるく、もう少し熱くならないかな、、、と思いましたが、子供には丁度良いよう

す。子供は今日も2人で入りに行っていました。昨日は桟橋に私達ともう1艇とブイに止めている船がいまし

たが今日は沢山の船が来て、小さな桟橋(うちの船と同じクライ位の大きさの船が全部で3艇泊めれる位)な

のですが、 桟橋には横だきしながら7艇、アンカーリングしている船が4艇、私達もあまりの船の多さに、桟橋

を離れブイにとめる事にしました。ここにまだ3〜4日居て温泉にも何回か入ろうと思っています、、ここを過ぎ

るとハーバーに入った時にシャワーが使えるでしょうが、、、。湯舟とゆうのはないですよね、、、。  ここに来る

前の日、East Inlet(53°42,N 129°43,W)という55マイル離れた所から、ここに向け1時間程機走していると、

向こうからヨットが、、、日の丸をあげていて、近づいてみると見た事あるような、、、。

私達がこのオリハルコンを買うために横須賀のヨットハバーにいた時、カナダに向け出港して行った船が居て、

少し話をし、中を見せて頂いた船がいたのですが、その船 とこんな所で会おうとは、、。本当に世界は狭いです

ちょっと話を、、、という事になり私達が今出て来た所に2艇で入り、いろんな話を し、翌朝別れました。その方

は(50才シングルハンド) 3年間夏はアラスカ、冬はカナダでスキー、という具合に行ったり来たりしているら し

いのです。飽きるまでこの辺を楽しんだら南の方にも行きたいと云われていました。 日本のヨットと出会ったの

はうちが初めてだそうです。今年は、沢山のヨットがカナダを目指しているようなので、又どなたかとお会い出

来るかもしれませんね、、、。  カナダに入ったせいか、6月に入ったせいか、天気が良い日が多くなり、静か

でき れいな入江で幸せを感じています。アラスカも良い泊地が沢山ありましたが、カナダ もあるようです。

まだここが一番!という所には出会っていませんが、、、。

6月9日

 Bishop Bayで4日程ゆっくり温泉につかり、7日に出港、次は60mile程行っ たKlemtu(52°34,N 128°30,W)

と云う小さな町に寄り、小さなお店があったので、 買い物をしたりして町を少し歩きました。町の人と何人かす

れ違ったのですが、大人 も子供も皆私達に興味を持ったような眼差しで、挨拶をして来ます。ここには2種類

のネイティブの方がいるようです。それからサーモンの工場があるようで、工場の方 がWellcome B.Cといって

大きなサーモンを持って来てくれました。燃料、水も補給し、 一晩泊めさせて頂いて、今ここOliver Cove(52°

18,N 128°21,W)にアンカリング、 停泊しています。ここも無人の小さな入江で、ここでは2泊する予定です、

つぎ はBella Bellaという町の対 岸にあるShearwater(52°08,N 128°05,W)という有料ハーバーに行く予定で

す。

こ こでシャワーと洗濯をすませようと思います。そして有料のハーバー(少し高めとい う話)なので、パソコンの

接続をお願いしてみようと思っています、、、。

 Shearwaterでは2泊位して、2回くらいパソコンの接続ができれば良いな、、、と 思っています。  この辺は、

小さな入り江が沢山あり、アンカリング出来るようなので、カナダに入 る前心配していた泊地も、今の所問題な

いようです。  今からヨットのシーズンだからか、よくアラスカ方面に行くヨットとすれ違います。 うちだけ皆と逆

行しているような、、、。(ただ帆を揚げたヨットをみる事はありま せん、、この辺ではモーターボートが良いです

ね!) 小さな無人の泊地でも、ヨットやモーターボートが何艇か泊まっていて、私達の船だ け、という所の方

が少ないです、、。  もうすぐバンクーバー島の内側に入れるようですが、のんびりと予定の無い様な旅 をし

ていますので、バンクーバーの街迄はまだ少しかかりそうです。 

 日本はそろそろ梅雨入りですか、、、?私達はやっと雨の多い時期が終わったよう です。 それでは、叉書か

せて頂きます。

6月11日

 今日のお昼前に、Shearwaterを出港して、今Codville Lagoon(52°03,N 127° 50,W)という所にアンカリングし

ています。今日も無人の入江に私達を含め5艇泊まっ ています。  Sheawaterのハーバーでメールの接続を、

、、と思ってハーバーのショップでお願 いしたのですが、公衆電話の受話器とコンピューターをつなぐ初めて見

るものを借り て(有料)やってみたのですが、出来ませんでした。今迄の様に、普通の電話の回線 をお借りす

る事が出来ませんでした。 又メールを送れるのは、今度いつになるかわからなくなってしまいました。

6月17日

 今日はやっとバンクーバー島の内側に入る事が出来ました。 今私達がいる場所は、Port Mcneill(55°35,

N 127°05,W)という有料ハーバーです。 Prince rupertを出て以来初めての街らしい街です。スーパーもあるし、

マリンショッ プも、、、これでようやくメールの送受信ができると思います、、よかったよっかっ た! ここに来る

迄、無人の入江や、少し回り道して、長く続く美しい砂浜があるリゾート (とっても日本のリゾートとは違い、まる

で自然公園)で日本からも沢山釣りをしに来るといわれていました、でもオープンは7、8月の2ヶ月なので、今

はまだoffで す)の方に足を延ばし、子供孝行をして(沢山大きな流木が流れ着いているので、そ れで子供達

は基地を作ったりしていました)ようやくバンクーバー島の内側に入る事 が出来ました。 この辺は熊はいないよ

うで、その代わりといっては何ですが、鹿がいるようです。  碧と主人は入江に泊まった時、ボートで遊びに行き、

鹿を見つけたそうです。私は 足跡は沢山見ました(狼の足跡も)。  主人は今、これから行く所で、潮の流れが

とても強い(16kt)所があり(潮止 まりを狙って通るのですが、距離も結構あり、来週は1年で一番大きな大潮

だそうで、 そうでなくても、デビルズホールという名のすごい渦巻きや、段差が出来たりする様 な所らしいので、

情報あつめを良くして、コースが3コースくらいありどこを通った ら一番安全か決め、それに見合った海図を選

ばないといけないので、一生懸命一人で 悩んでいるようです。 でもその難所を通る前に、シャチが良く見れる

所がある様なので、シャチを見てから その難所に向かおうと思っています。シャチはまだ見てないので!!  

 〜  〜  〜  〜  〜  〜  〜  〜  〜

御無沙汰しております。山下です。 プリンスルパートからここバンクーバー島の内側迄、とても楽しい航海でし

た。 アラスカと違い、キラキラ輝く太陽、広い空、まるで運河か湖の様な海。 6月のアラスカも、こんなだった

のか、やはり違うのかが、確かめられず、気になる 所ですが、背後に背負う威圧感の代わりに、草花の優し

さを感じる様な、そんな航海 でした。色彩が、とても淡く柔らかいのです。 原野の入江も、おもしろそうな所を

選んでアンカリングシながら南下しましたが、 凄みのあるアラスカとは違い、とてもマイルドな印象で、原野の

入江とはいっても他 の船とも良く出会い、とてもポピュラーな感じでした。 そして、カナダにはいってようやく真

正面の風以外、横〜後ろ、悪くてもクローズホー ルドで目的地へ向けて走れる風に恵まれはじめ、昨日も2段

に縮帆したメインセール とジブで8kt弱、安定したセーリングでバンクーバー島の入江迄走りこみました。

ただ、岩礁が多く、浅く細すぎる水路が多く、よく水路誌を読むと(女房に読んでも らうと)潮止まりの10分間以

外はだめで、なんと20kt!(海図には流速が書い てないとこもある)流れるところも、一般的なポピュラーな水

路として載っていたり で、事前の下調べに全然気が抜けません。この先の水路は3通りあるようで、どれも 一

長一短のようです。水路誌では凄い事が書いてありますが、(確かに凄そうだ)主 要航路なので情報は多いは

ずなので、只今勉強中です。    

      今後の予定ですが、7月初旬にナナイモあたりに出没

出来ればと考えています。 バンクーバーはとてもハーバーが込み合い、難しいかも、、という噂ですし、。

ナナイモノ手前、デゾリューションサウンドも良いとことのこと、、。 子供からは、シャチと会える迄このへんを

動きたくないとの声が上がってます。 明日から情報収集に励む予定です。   

  >>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>> Yamashita Family (Kenichi,Yuko,Yumi,Aoyuki) E-Mail kens-sea@d7.dion.ne.jp (写真など添付頂ける場合、250KB位迄なら問題なく受信できます。) 航海最新情報イッシー船長のホームぺ−ジの中に有ります http://mx4.tiki.ne.jp/~kaizoku/ 只今バンクーバーに向けインサイドパッセージを南下中! -------------------------------------------------------------------------------- -------------------------------------------------------------------------------- --------------------------------------------------------------------------------

[Rainbow]

2001.May.15 受信

 

 

[Misty]

2001.May.15 受信

 

ランゲルを出て、今ケチカンで羽根を整えているオリハルコン山下です。

ランゲルを出て、すぐ、黒白のイシイルカが出迎えてくれ、なんだかずいぶん久し振 りに、海に戻ってきた

ぞ!という気持ちが込み上げてきてきました。

ランゲルからケチカンまでは、大きくミスティーフィヨルドに寄り道し、グレイシャーベイとは又違うタイプの入

を心に刻んで来る事が出来ました。 グレイシャーベイは奥がドンずまりで氷河があるのに対し、ミスティ

ーは、山手線 の様にぐるっとフィヨルド地形が一周して(約350キロ)ケチカンまで廻っていて、 幅は関門

海峡から錦川(岩国)下流くらいの海がずっと続きます。 周りは山が迫り、黒部ダム周辺を航行している感

じでした。 水路は、両側が急な山で廊下の様になっているため、風はその廊下にそってしか吹か ず、ラン

ゲルで甘やかされてきた罰が当たったか、岬を廻っても向い風ばかりで、時 化てはいないにしても、軽〜

風の真正面の風と、サイズはミニチュアながら潮の音 と共に騒ぎ踊る小波、、入江の底で聞いた、遥か

上空の岩と風の宴、、。

最後の最後まで、先を急ごうか、ミスティーに廻ろうか悩んでいた所、出港の朝つな いだメールに、ブレイ

マンからのメッセージ。

「多島海の航海を大切にしろ!先を急いで後悔を残すな」 ご自分のパタゴニアと南極の航海での、満足と

いを用い、スピリチュアルなアドバ イ スと励ましを、心にそっと置いて行ってくれていました。 今回は、

気圧計と観天望気での天気の予測の難しさに悩み、、オートパイロットの故障も解決できず、、でした。

停泊中テストライトを使い、配線も全部チェックしたにもかかわらず、コンピューター を経由させた場合の

みその線に電気がいかず、 (コンピューターの接点も、直接バッテリーにつないだ場合も接触は問題無し)

パネルを開いてみても、そこにはハンダで出来た迷路があるばかり、、。 結局ドライブユニットのプラグを

ナイフで削って動く様になったのですが、自分では 解決できず、コンピューターにつながない時は全く接

触も問題ないのが今でも解らず、 近くのヨットの人が知らぬ間に呼んで下さった本職の人の作業をみて

も、血肉にする 事も出来ませんでした。

それから、海図と潮汐表の見方も甘く、人里から100キロは離れた誰もいない入江で、砂州に乗り上げ

てしまいました。 幸い、潮は満ちて来る時間だったので!すぐ離れる事が出来、ダメージもありません

でしたが、海図ではドン深のためアンカーは適さないので、ブイが打ってあるはずの ところで、ブイは無

くなっている代わりに、その位置は砂で埋められ、エンジンスロー で接近中、水深20メートルの声を聞

いた数秒後、乗り上げていました。

乗り上げた事ではなく、僻地では海図を信用するな!と聞いていたのに、海図でドン深の所がこんなに

浅くなっていると云う事に驚いてしまった自分の、読みあまさを悔 しく思いました。 水も、ほとんど黒に近

い緑色で、水深の変化も気付きませんでした。 僻地では海図や気象情報、人間の出した情報に頼り過ぎ

ず、自分の直感や感覚を大事 にしなければと改めて思いました。 今回は、航行中幸いにも、時化とは出

会いませんでした。

地元の漁師さんが、ストームが来るという中マイヤーズチャックを出て、水道の真っ 向から雲と風の固ま

りがきて、連れ潮なのに40分間全く進めなかったりしましたが、 それも、通り過ぎて元の海に戻りました。

偶然、2回程やって来た時化は停泊中にやり過ごす事が出来ました。 ただ、潮汐表どうりに航行しても、

一日、南なら南の風が狭く長い水道を吹き続ける と、潮汐表の御加護は届いてはくれませんでした。

真向い風や無風ではなかったのは、イエスベイへ向かう一日だけで、その日だけは、 アラスカ多島海に

着いて数少ない、快適なセーリングでした。 そして奥へ奥へと、時間の止まったようなフィヨルドをさかの

ぼって行きました。 ランゲルを出て、ここケチカンまで、人とであったのは3ケ所のみ。 後は人も船も見

ない原野の峡水道の航海で、シーズン前のフィヨルドの奥は、実際の 距離以上に人間の世界から遠く離

れた心境になり、もしかしたらこの世からあの世へ の水路は、こんな風景かもしれないな、、なんて思い

ながら、ひとつひとつの岬を廻 り、奥へ分け入る度、人間の都合や常識から、遠い、違うエリアの星に旅し

ているよ うな錯覚を覚えました。 「お前はこの風景の中の一部となる覚悟があるのか!?無いのならミス

をしないうち に、人間の臭いのする所まで帰った方がいい。」目の前に立ち広がる景色の凄い霊気 が、

そう語りかけて来るような入江の奥に、昔の記憶をたどる旅の様に、オリハルコ ンで入って行きました。

目で見る風景と、僕の心の中に広がる風景、、。 その境界線が霧で包まれるような、入江の奥に続く細い

水路。 その両側の、そそり立つ絶壁の上の雪は、解ける事無く年月と共にたい積し、自重が 上回ってくる

と、雷鳴のような響きを合図に岩壁を引っかきながら、数秒で海や森に 滑り落ちる。 おそらく、途方も無い

時間をこの山の上で過ごし、今ようやく、海に帰るのか、、。 海の旅、遠い記憶の旅、水の旅、、。

ウォーカーコーブの一番奥で、2つの錨で船体 を固定し、岸から一本ロープを張り終えてひと息ついて、、。

 〜 ケチカンに着く最後の最後まで、きっちり向い風でした。 最後の日は、海面も広がるのでセーリングで

行くべくスポーツ的に頑張ったけど、 手前8マイルくらいで潮も逆になり、進んでるのかどうなのか、そろそろ

タックタッ クで後ずさりしそうなので機走に切り替え入港し、落ち着いた頃、風が逆になって吹 き出したのは

笑ってしまいました。

ケチカンも2日目になり、快晴の中、町を囲む山や森、ロケーションの素晴しさに心 を奪われています。

しかし、美女の微笑みと目が合った時ような天気だったのに、南東の風がだんだん強 く吹きだし、水道でう

ねりが発達しはじめ、夜中には20メートルの風が吹き続け、 ハーバーの中はマストと漁船のトロール竿の

大合唱、オリハルコンも他の船にならい、 2晩、(昼はほとんど無風)もやいのスプリングのリズムで、ダン

スをしていました。 今回は、天気、電気、真向いの風、読みの甘さ、、etc..。美女にも海にも百戦錬磨 のベ

テランの人なら、こんな海をどう走るのかな、、と、たびたび考えてしまいまし た。                          

  写真を別メールで送ります。 ここでは、息をのむ凄い岩山が、海から一気に1500メートル立ち上がり、

頂上直下から、雪と氷と花崗岩の鮮烈さが、僕の心に、強く何かを問いかけて来るよ うでした。

「もののけ姫」の、シシ神の森”を、もっともっと強烈にしたような、凄じい気配。 ダイダラボッチ”をもし見上

げても、 こんな異様な存在感を感じる事ができるかな、、、なんて思いました。 僕に、これは現実だと認識

させるための時間だけ、特別に霧を取り払ったのか、観る 事こそ出来たものの、結局その後もシャッターチ

ャンスはなく、そこだけは特別の場 所だと感じました。 現に、ミスティーのどの写真を見ても、そこより霊気

もスケールもおよばない別の場 所(パンチボール)は良く出ているのに、そこの写真は一度もみませんでした。

その岩壁が霧で姿を消した代わりに、その時だけ雨が止んで、魔法の様につかの間の 青空が出て、まるで奥

にいざなうかの様に、狭い空に、虹のゲートが架かり、周 りの風景が風景だけに、偶然でなく、何かの意志が

ある”と考えた方が自然なような、 、。

パンチボールコーブという入江です。   

 ”オリハルコン” 山下 健一   kens-sea@d7.dion.ne.jp >>>>〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

 ケチカンの出港の朝です。

2001.6/2受信

いつもありがとうございます。山下です。

> > 旅に出る前、山下さんとは、しばらく連絡がとれないんだろうなと、諦めて
> いました。今どこでどうしてるかなんて、さっぱりわからなくて、半年に一
> 回くらい、手紙が届けばいいほうじゃないかって。
> > それがどうでしょう。いざ旅が始まってみれば、無線で応援してくださる何
> 人もの方々が、毎日の交信内容や位置情報を刻々とMLに届けてくれて、船
> 長がホームページに現在位置の地図を刻々と掲載してくれて、そして、港に
> つけば、山下さんから、画像付きの電子メールが、こんなに頻繁にやってく
> ることになろうとは。。。
> なんだか、感無量です。

メールは、この旅をより素晴しいものにしてくれています。 無線も、いいものですね、、。 オリハルコン

は、どんなに淋しい入江にいっても、多くの人とつながっているんだと、 とても励みになります。

ぼくは気を抜かず頑張るくらいしかできませんが、 これからもどうぞ宜しくお願い致します!

> 今や、山下さんは、私のマック仲間のなかでも、最高の使い手の一人になり > ましたよ。 
>ねぇ山下さん。

ハイ。坂井さんが後ろにいる限り、怖いもの無しです!!

> それから、今年のMLスポンサーは、イッシー船長、谷中さん、新田さんの
> 3名の方に決まりました。当選された皆様、本当にありがとうございました。
> 他の方からも、応募したかった〜!という嬉しいメールを何通かいただきま
> したので、旅はまだまだ続きますから、来年も引き続き募集させていただこ
> うと思っています。ぜひ次の機会によろしくお願いします (^-^)/、

僕は応募出来ない分、節目節目で、記念の石っころ?何か考えて、送らせて頂きます ね。期待はけして

しないで待っていて下さい、、。 船長、谷中さん、新田さん、ありがとうございました。 谷中さん、しっかり

見ていて下さっていたんですね。 とても心ずよく思いました。短い間ではありましたが、廿日市の日々が

懐かしいです。

ここからは本格的な峡水道が続きます。座礁等しないよう、今後も気を付けて走ろう と思います。

カナダは、木々の緑の色が、あざやかで、柔らかい感じがします。 太陽の光が草や波間にも、沢山ある

感じです、、。 では、これからも、頑張らずに頑張ります! それから、今日気付いたのですが、船長の

作って下さった航跡図で、 ケチカンの北のビーンキャナルという入江ですが、ベルホットスプリングスと

いう 所から、ケチカンに引き返す様になっていましたが、実際は、ベル”から、さらに 細い水路を北東へ

進み、地図ではラッドヤードベイと書いてある(実際は続い ているので、海図ではビーンキャナルとなっ

ています。)方ヘ南下、その水路に、ミ スティーフィヨルドナチュラルモニュメントがあり、航跡地図では

細すぎて載ってい ませんが、途中に、写真を撮れなかったウオーカーコーブ、写真のパンチボールコ

ーブなどの入江が10マイル前後切れ込んでいます。 僕達はそれらの入江に立ち寄りながら、ケチカン

までぶぐるっとと大きく廻って来ま した。 つまり、ケチカンのあるおおきな島を、ぼぼ、一周した感じにな

ります。

              ”オリハルコン” 山下 健一   kens-sea@d7.dion.ne.jp