海からの贈物

 

[海底の宝・ペドロ・ロハース]

今から100年昔、1900年のフイリピンのビール瓶である。
瓶の中に一杯入った珊瑚の砂には訳がある。
コンクリートヨットで太平洋を横断した翌年の5月(1976年)、帰国の途路、私はグアムに立ち寄った。 そこで知りあった地元小学校の先生に誘われて、夜のラグーン(礁湖)でのダイビングに付き合った。ダイバーの手にもつ水中電灯の光が暗闇の水面下を右往左往する。やがてボートの中へ瓶だの缶だのガラクタが投げ込まれた。
  その一人が私に言った。「この瓶要るかい?」
 こんなガラクタは要らないが、この言葉が何故か引っ掛かった。
 「このガラクタの瓶は一体何物なのか?」
 「これは、1900年に、作られたフィリピンのビール瓶だ。船乗りがここへ停泊した時に、ビールを飲んで捨てた物だ」
 どうやら彼等は、このような骨董的価値のある瓶や缶を海底で探しているのだつた。
 海底の金貨ならぬ、海底の骨董品探しは高級な趣味と見受けられた。

1975年、コンクリートヨットで我々夫婦は太平洋を横断した。

太平洋ど真ん中でもゴミは漂流していた。

この瓶球も下部におびただしい烏帽子貝をぶら下げて椰子の実のよう

に太平洋を何年も漂流していた。

 このだだっぴろい太平洋で、ぶつかって来るのだから、「袖擦りあうも他

生の縁、ぶつかり来るは多大な縁」だと思って、拾上げて後生大事に保管

している。

 
 
 
 

 

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