第126〜154話 

 

  

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海・千夜一話物語   第126話

 

「夢航海 高松〜牛窓」

 

 6/22 05:30 出航06:00のため”YUME”に行くと、すでにオーナーが起きていて

エンジンも掛かっている。  しかも、エンジン・ドライブの冷蔵庫はタイマーで

冷やしてあり、すでにビールはキンキンに冷えた状態。

 

実は、YUMEはこの出航の3日前から連日のように高松ヨットハーバーで宴会の

毎日でしたので朝と夕方30分づつ冷蔵庫はエンジンのコンプレッサーで冷やされて

いるので、冷蔵庫は冷えてて当たり前、、、。

でも、今日のクルージングのためにはちゃんと燃料(ビール)が冷えていないと

走れません。

 

06:00 予定通りに牛窓に向けて出航、風は凪、雨のためドジャーとビミニトップとの

間にジッパーで雨よけを取り付けたためコックピットはドライです。

今回のメンバーは JA5JNV JA1XME 安藤さん(NOCALL)。

07:00頃430MHZのメインで JE5HYL をコールすると眠そうな声で「おはよう〜」

一応起きているようです。

予定通りに土庄港 08:00 入港 HYL が合流して少し遅い朝食になりました。

 

土庄〜牛窓の間に雨が上がり牛窓に入港する前にデッキを綺麗に掃除する。

今回は牛窓で一昨年にお世話になった人達を招いてのパーティなので船は綺麗に、

自分達も綺麗にと、入港直前に新しく用意した揃いのポロシャツに全員で着替えます。

 

牛窓のゲストバースではハーバーマスターの塩田さんが出迎えてくれてムアリングを

取ってくれます。 ここは、いつ行っても気持ち良く迎えてくれるのでお薦めの

ハーバーです。

ゲストバースは入港していちばん奥の櫛形のバース丸まる全部がゲスト・バースです。

このバースは大抵10艇以上空きスペースがあるのでGWかお盆に行かない限り

いつでも安心して係留できます。

 

Good Sailing 88/73

 

de Y.Yabe Takamatsu-city JA1XME@JA1XME.36.JNET5.JPN.AS

 

海・千夜一話物語 130     「夢だより・牛窓航海記」

 

 YUMEの牛窓航海記の初日はXMEさんのとおり、土曜のよる、牛窓の皆さん

と夢豪華デイナ−で盛り上がりました。翌日は、0800出航宇野を回って比々に

出たところで、濃霧に取り巻かれました。視界50メ−トルがやっとで右左前後ろ

ボ−という汽笛ばかりになりました。こっちもHYLさんが汽笛のボタンを担当し

ましたが、どうも優しくて少し押しがたらないようだ 。機関を1500に落とし、

4ノットで行くうち正面から汽笛が聞こえ、どうも近いぞ、やばいな−、何方に逃

げようか、ドキドキ、XMEさんはフォアデッキで霧のなかをワッチ、突然目の前

に黒い大きな船体が見えた、右に一杯ラットを切る、30メ−トルでかわした、相

手船首は波を切ってない、停船中かな、れちがう、スクリュウ−が水をかき始めた

あっ、これはこちらを避けるためとまってくれたんやな、むこうは多分レ−ダで監

視してちっちゃいやつが止まらんと鼻先にびっくりしてとまったんとちがうんかな。

申し訳ない。こんな具合でした。

 下津井、本島、広島、佐柳沖ではベタ凪、ご飯を炊いてバラ寿司、吸い物、ビー

ルで昼食、1500無事仁尾帰着でした。

 MUNEKOさん、そうするとうみまるは7月8日(月)広島−高松ですか。

かなり距離がありますよ。これるんかな。もしその予定だったら、YUMEが仁尾

から出迎えて高松までいってもいいけど、なんて考えてます。火曜日だれか仁尾ま

で持って帰って下さい。ビ−ル一杯冷蔵庫に入ってますよ。

 長川 伸 JA5JNV @ JA1XME

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海・千夜一話物語   第127話

 

「 ラット と ライジャケ と うみまる」

 

 少し遊んでいましたので久しぶりの書き込みです。(仕事中に書く事が

多いので HI)

 

JG4OHG 吉永さん、こんにちは。

ラットですが、どうもあのワイヤー式のは好きになれません。

メインテナンスの問題が大きいのですが、まずワイヤー自体が「切れる」

トラブルが無いとは言えないので、長期クルージングを考えているのでし

たら、このトラブルの元は無い方がベストだと思います。

 

ワイヤー以外でのラットでは、Island Packet のシリーズが使っている

ラック・アンド・ピニオンラダー・シャフトに取り付けたクォードランドにギアが

切ってあり、このギアをラットから出たシャフトに取り付けたギアで直

接動かすタイプです。

難点は少しラットが重い事くらいで信頼性はあります。

 

次に、ラットからギアで減速してラダーシャフトとの間をシャフトでリ

ンクさせたタイプの物があります。

これも、リンクの取り付けてあるビスが取れない限りトラブルはありま

せん。

 

以前ニュージーランドから来た50ftのスティール製ヨットがありま

したが、彼らのは油圧でのドライブでした。 ラダーシャフトに2本の

油圧シリンダーが取り付けてあってこれが左右の動きをしていました。

 

オートパイロットはやはり油圧ドライブでしょう。

 

トランサムの内部に取り付けられるので波の打ち込みを気にしなくてす

みます。

オートヘルムだと ST-5000 以上、B&Gでも油圧のドライブを出し

ていますが配線のやり易さと GPS とリンクさせてのウエイポイント・

ナビゲーションの方でオートヘルムが良いと思いますよ。

 

ST = Sea Talk の意味です。

 

JA4QEY 石川さん。

ライジャケの自動膨張式のは飛行機に乗ったとき、座席の下にあります。

CREWSAVER のカタログを見ているのですが、ジュニア用のは無いようです。

大人用ではマニュアルとオート両方がラインナップされています。

このライジャケはORCのカテゴリーでは外洋レースに出るヨットはこの

タイプのライジャケを積まないとレースにでることができません。(お金

が掛かる)

 

JG5RIK 宗子さん(高松ではこの呼び方で通ってます)

「うみまる」はどのハーバーに入るか分かりますか?

高松ヨットハーバーに入るようであれば歓迎委員会をデッチ上げなければ

ならないし。

 

de Y.Yabe Takamatsu-city JA1XME@JA1XME.36.JNET5.JPN.AS

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海・千夜一話物語  第128話

「うみまる と ゆめ と カブトエビ」

 

今回、高松での「うみまる」の接待役は、セーラーズの斎藤さんという方

が受けておられるそうです。ですから、たぶんペラガスに入港するのでは

ないでしょうか。

以前、ヤマハの主催で南波さんの講習会をしてましたよね。その関係では

ないでしょうか。(7/9 の出航を見にいきませんか? 矢部さん)

 

たしか、その時にPクラスディンギー(ニュージーランドの1人乗りヨット)も

取材していきましたよね。 来月号あたりには、YACHTING誌上に

載るはず・。

 

ゆめYUMEでの航海は楽しそうですね〜。わたしも何度かXMEさんに

見においでよと誘っていただいていたんですが、なかなか行けず、ハーバ

ーに係留しているのを、遠くからながめるだけです。

 

長川さんには、アルバイト中に何度かお会いしているんですが、まだお話

したことはないですよね。YUMEを横浜から回航するというころから、

矢部さん夫妻にはお話を聞いてました。食器などもけっこうこっておられ

るとか。

 

WOYさんやXMEさんの航海の話を聞いていると、とても憧れます。

みなさんが楽しく航海できるのも、やはりオーナーの人柄でしょう。

ぜひ、今度機会があったら、仁尾〜高松の回航にお手伝いさせてください。

(何もできませんが)四国にきて、まだ一度も瀬戸大橋の下を通ったこと

がないのです。

長川さん、おねがいしま〜す。

 

カブトエビ

DIVERフィールドで最近話題になってました。おもしろかったので、

興味深々ほんものを見てみた〜い。

海の生物(これはたんぼの生物ですが)ほんとおもしろいですよね。ヨッ

トに乗ってて見たもので感動したのは、マンボウでした。(死んでいまし

たが)

 

それから、石川国体の時には、クラゲが大発生していて、そこらじゅうク

ラゲ・クラゲ・クラゲ・・

 

シーホッパーのセンターが「ガコ!!」っとあがってきたのには驚きま

した。

みなさんも変な生物、見たことありません?

 

P.S.JA5ZDT 河野さん

    巡洋日誌100回、おめでとうございました。

 

      MUNEKO NAKAMURA

De JG5RIK @ JA1XME

KAGAWA-TAKAMATU.JG5RIK @ JA1XME.36.JNET5.JPN.A

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海・千夜一話物語 第129話

「森に入りて、森を見ず、港町に起居して海に背を向ける」

 

 アメリカズカップ挑戦のニッポンチャレンジで有名な難波艇長が操縦し

て日本を一周中の「うみまる」(全長11.2mヨット)が、8日から9

日に掛けて広島から高松へ向かいます。

 私は、この区間を、理由あって、同乗の志願をしました。(志願は誰で

も出来る。)同乗するか、同情されるか、長と出るか、半と出るか・・・。

 世の中にゃ、やってみんことにゃ解らん事も沢山ある。

 

 鞆の浦へ入港出来なくても、ものの5分でも10分でも立ち寄って貰っ

て、世界の港を知っている難波艇長の口を借りて、史跡と観光とマリンス

ポーツの融合、妥協案等を全国区で、後々語ってもらえれば有り難いと思

います。

 

現在、鞆の浦は、地域住民の念願する、駐車場と朝夕の交通渋滞の無い

文化的な生活の為に、港を埋め立て、史跡と景観の中に無理矢理橋を架

けようとしている。

 しかし残念なことに、鞆の埋め立て、架橋問題も、賛成派も反対派も、

どちらも陸上の観点からの意見ではないかと考えます。

 ヨットやボートで訪れる人々の視野で見た意見も、港町の正道、出船

入り船の側からの意見が何等反映されていない。

 

 当たり前のことだが、港町を海からみての論陣が、鞆の浦には必要か

と考えて、「うみまる」の水先案内を志願しました。

 

ヨットハーバーなんか作らなくても良いのだ。

 鞆の浦の港をそっくりヨットハーバーにすれば、景観に新旧のバラン

スがとれる。

 

DE JA4QEY @JK4KER.35.JNET4

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海・千夜一話物語 第131話

 

 「サテンドール西周り周航記;パケット版1」

│                 JS1LBV 山崎 薫

 

横浜ベイサイドマリーナ出港〜三崎

 

 40才目前のサラリーマン;山崎は 自分の周りのヨットマンを見て、

ロングクルーズを考え 95年9月30日付けで、20年勤務の会社を辞め、

機会を探していた。

 狙いとして、金が有って時間の無い人に代わってヨットを回航、目的地で

合流という手法を考えていた。

 しかし仲々現実は厳しく 日々が流れ96年になり、某資金エンドの

96年8月位までに計画を終了する為 寒い冬の間に計画を模索していた。

 

 その期間に 三崎漁港で会ったオーストラリア人クルージング中の人々の

「アラスカまで一寸行って来る」と言う感覚を「凄いなー」と思いながら自

分の出港の日を考えていた・・・ 行き先は? 船は? 期間は?・・・

 

 次期は天候の安定している5月〜8,9月位、行き先は 大洋横断ではな

くNHKの番組:グルっと海道3万キロではないけど まだ行った事の無い

四国,九州,沖縄方面、早朝出港 約30〜40浬の毎日寄港 夜間セーリ

ング無しのクルージングと 段々構想が まとまりつつ、日々が流れていた。

 

 その中で???青森セーリングクラブ(ASC)会報:41°North記事

を見て青森の係船料等の金額が 自分で船を持っても遣って行けそうな金額

だったので、船を持つ決意をし中古艇を捜す事にした。

 

   帆船マスト灯(紅緑全周)→:・←144/430/1200アンテナ

              ‖\

            /‖ \ DE JA5・CruisingLaisureBoat

     機帆走形象物→▼/‖  \ JA5・YachtJun-youQuarter

      レーダー→// 〇   \ テレビの八木アンテナ;ローテーター付

    機走マスト灯→// ☆‖ \ ↓↓サーチラトとスピーカー;ローテーター付

ジブのクラブ・ブーム→//ー――V  凵P]\T∞・・←50/144とマリンVHFアンテナ

   ロープドラムと//→○/ ̄↑ ̄ ̄ ̄ ̄■■∠舟←テンダーとデリック

    ウインドラス ̄\ ̄ ̄ ̄ビレーピン ̄ ̄ ̄↑ ̄▽

   両舷に収納ケット付きオーニング追加  ハルのみ33ft・排水量5,5トン

 

 

 

海・千夜一話物語 第132話

 

「サテンドール西周り周航記;パケット版2」

     JS1LBV 山崎 薫

 

 5月20日 サテンドール:オーナーと電話連絡、5月22日 下見。

林28カスタム、ショートハンドで船齢3,5年と クルージング艇とし

ては理想の船・・・と 6月の出港に向かい急ピッチで動いた。

 GPSの手配,海図,名義変更etc

 

 5月30日 サテンドール代金支払。

 

 6月1日 横浜ベイサイドマリーナにて サテンドール住まい初日

山崎は 6月16日(吉日)の出発式,6月19日(PM)の出港と

日程のガイドラインが決定して 船のシングルハンドトレーニング 及び

 荷物の積み込み。 いよいよ実現に向けたカウントダウンが始まった。

 

 6月5日(水)YBM→東京湾マリーナ 1P+No.3で6,5ノ

ット初セーリングの東京湾は強風で凄かったが、リーフで安定してセー

リングできた。

 

 6月6日(木)東京湾マリーナ→YBM 風弱く機走

YBMでマストチェック,予備パーツ購入,セールリペアー等

 16日の出発式の段取り手配,マンションの引っ越し,会社の同僚の送

別会等時間が急に動き出した。

 

 9月16日 辛うじて天気は持ってくれている。 生ビール20リット

ルもすぐ無くなり 後は何だか解らない内に、約50名位の出発式を終わ

っていた。

 いよいよ19日午後の出港である。

 

 

海・千夜一話物語 第133話

 

「サテンドール西周り周航記;パケット版3」

     JS1LBV 山崎 薫

 

 6月17日 出発式の後片付けを済ませ 出港準備も整い6/17に向

け最終手配。YBM1300出港予定、乗員は金子氏、目標寄港地 三崎

漁港と決定。

 

 6月19日 某資金手続き、赤羽(元)オーナー,ハリさん,佐々木さ

ん,吉田さん,見送り。風力5西,曇,三崎向け出港

 1300 予定通り《こち》(林34)が 観音埼まで伴走してくれた。

ありがたや 早速 観音埼沖で、30センチの鯖が1匹連れた。

 

 

 今回のクルージングで 始めの頃は結構向かい風ばかりで きついセー

リングだった。横浜BSM→三崎→伊東と結構スプレーが勧った。

 しかし 金子氏の同乗及び 徐々に体を慣らしていった事、段々不安は

解消された。

 第2の故郷三崎漁港で係船し 早速銭湯高野湯へ・・・でも休みで風呂

なしの食事。 三崎界隈で有名な焼鳥屋、知る人ぞ知る《寿々木》へ 金

子氏と入る。

 生ビールが「高いんだな、これが」

 

 翌朝 金子氏を送り、ひとり三崎マリーンへ行き40リッター給油。

山下ボートでスターンチューブ,ファンベルト,アクセルワイヤーの調整。

 皆さんへ「青森向け」との挨拶をし 1030伊東向け。

No.3+フルメイン 6,1ノット シングルハンドでの本格セーリン

グNo.3+1Pメイン 5,4ノットと 何とか35マイルを走りきり

1725いつもの定位置(作業船にサイドバイ)に着ける。

 

海・千夜一話物語 第134話

 

「サテンドール西周り周航記;パケット版4」

     JS1LBV 山崎 薫

 

 伊東マリーナ;永井さんから車を借りてホームセンターで扇風機,蚊取

り線香,防虫スプレーと夏対策。

 21〜22日は雨天の為 JCN森山より御前崎,浜名湖などの情報を

入手。

《ムーン・ドルフィン》の玉木夫妻と会い 玉木氏同乗の上23日出港と

決め、居心地良く 伊東には3日滞在と決まった。

 入港後は 風呂風呂で地元の美味しい店を聞き、その店で夕食十色。

《サテンドール》の行動パターンは この伊東で確立した様な気がする。

 

 港からは一寸遠いが 伊東港から徒歩20分の所に《辰巳屋》と言う店

がある。

店の小母さんが粋な人で、2日間 通ってしまった。

 熱海で6ヶ月間仕事をしていた事が有り その時の感覚から、どうして

も伊東の人情味が 何とも言えず、伊東は好きな泊地の一つに成ってしま

う。

 

 23日 玉田氏を同乗させ 伊東発下田向け。下田祭りで賑やか

 

 24日 御前崎へ向け出港するも ガスで視界不良、機走で移動。

鳥羽レースでは山場になる海面を 風なしで淡々と、御前先へ向かっ

た。

 

 そして今回の巡航で最大の漁果,雅鰤(ワラサ)900を3匹釣り上げ!

奇跡が おこったのである。

 御前崎漁港東側堤防 すぐ際で鳥山発見。玉田,山崎は にわか漁師と

化し玉田ラインマン,山崎ヘルムスマンのコンビで、魚を巧みに船から離

した。

 60分間に4匹フッキング3匹ゲット。これ以上釣っても自分たちでは

処理できないと思ったので、《夕まづめ》前の1600位で切り上げ入港

した。

 

 

海・千夜一話物語 第135話

「サテンドール西周り周航記;パケット版5」

     JS1LBV 山崎 薫

 

 この二人の にわか漁師、狩猟民族の血が騒いだのか60分間あっと言う間の

出来事だった。 《風見鶏》ファミリーの斉藤さんから貰ったギャフ,トローリング

ラインが最大級の活躍だった。アリガタヤ

 

 御前先は深い港なので結構良い泊地と思ったが、2〜3日前に岸壁から車が

落ち 若い女性の死者が出て、花や酒が飾って在ったり 冥福を祈っている人も

居た。 また それも人生なのか・・・

 海上保安庁PS07《あしたか》の広報にサイドバイし雅鰤1本をプレゼント、

二人で2本をブラ下げて 風呂と夕食に上陸したものの 周りは民宿だけ。

 「雅鰤をあげるから」と風呂,飯をお願いしたら民宿《大政》の旦那が風呂は

OK。夕食は海鮮《いむら》を連絡してくれ 車で送ってくれた。

 一寸高そうな店へ残る1匹を持って行き 刺身,フライ,あら煮,塩焼きと

「これでもか」と言うばかりの贅沢な夕食だった。

 料金も生ビール代程度で さすが《大政》の紹介が効いたなと思った。その上

雨の中 又《大政》の旦那が車で来てくれて、ヨットまで送ってくれ助かった。

 

 25日 悪天候で待機。玉田氏下船。御前崎灯台を見学。浅くて入港が難しい

という浜名湖へのアプローチを保安庁から聞き、JCN杉山氏とコンタクト。

 

 26日 さすが御前先は海の難所である。 3〜4mのうねりの中 独りで

浜名湖向けで出港し ヨット乗りが「浅い」とか「地元民もロックする」とか

言う舞阪漁港へ向かった。

 入り口の浜名湖大橋の下を恐る恐る進み、何とか無事入港することが出来た。

 

 

 

海・千夜一話物語 第136話

 

      「おっぱい観音堂」

 

 福山市鞆の浦から、西国尾道に向かうとき、岸に沿って走ること約1.7マ

イル、時間にして約18分の所、右手に岩上の朱色のお堂が見える。毛利輝元

建立になる阿伏兎観音堂である。現在、国の重要文化財に指定されている。

 約20mの岩の上から、海に向けて下がり勾配に張り出す1m幅の廊下を歩

くときは、恐怖に鳥肌が立つ。

 東海道五十三次の浮世絵で名高い安藤広重が描いた「西国・・・・」にこの

観音堂の作品が残されている。

 

 正確には34゜21.75’ : N133゜21’E に位置する。

この観音堂の事を、人名付けて・・・否、私が名付けて「おっぱい観音」と

言う。

 もともとは航海の安全を祈念して建てられた物だろうが、国家の安全、お産

の安からん事を願って、布きれで作った一対のおっぱいが、いっぱい奉納され

ている。

覗きたい人は、この観音堂の西に回り込む海峡を50mほど走った所に、阿

伏兎館と言う名の割烹旅館が桟橋を持っているので、食事を執るのを理由に大

きな顔して横付けする。ゆっくり食事してから、見学にいく手もある。

 もともと安くてうまいと言う評判だが、私の紹介だと言っても何の効果も無

いだろう。

 

私は、正月によくここへ友人や親類縁者を連れてくる。

 ヨットを観音堂に出来るだけ近づけて、こう言うことにしている。

 「さあ、ここからお堂に向けて、お賽銭を投げて手を合わせ、航海の安全と

家庭円満、ヨット安泰を祈願しましょう。」

 人々は釣られてコインを目一杯お堂に向けて投げるが、目の前の海に落ちる。

 

DIVERには内緒だが、柏島や与論の海よりも、ここで潜るのが、私は好きだ。

 

 

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海・千夜一話物語 第137話

「34より小さい35」

 

 今は懐かし「日本リーダーズダイジェスト」に”笑いは百薬の長”と言う

ページがあった。

 腹の底から、豪快にカンラカラカラと笑って下され。

 

 

 登場人物 甲さん:建築設計会社経営の中年ヨットマン 

乙さん:クルーザーで男に伍して舵を任されるヨットウーマン

 

乙 「甲さん、良いヨツトですね。」

甲 「大きいのが欲しくって、新艇に買い換えたよ」

 乙 「何フィートですか?」

 甲 「35feetだったかな。」

 乙 「少し小さく見えますね。」

 甲 「そんなことは無いだろう。気のせいでわ・・・? ハルにも35っ

    て書いてあるだろうが。」

 時は流れて、日が暮れて、お空にまあるいお月様・・・・

 月は東に、日は西に・・・・

 歳月は人を待たず・・・

 

 ある時、ある場所、あるレースで、隣りどうしに係留する機会があった。

 

乙 「甲さん、何フィートだったですかね?」

甲 「確か、35feetじゃったがのー」

 乙 「このヨットが34feetですよ。これより、おおかた30センチ位

    い短く感じないですか。」

甲 「そう言えば・・・・・!」

 

後日、甲さんは輸入販売元に文句を言ったら、35feet艇と取り替えて

くれたと言う。

 

「普通、プロダクション艇は、ハルのどこかに、ヨットの長さを表す数字が

書き込んであるでしょう。」とその話をしてくれた友人に訊ねたら、友人が答

えでいわく。

 「メーカーが間違って、35feet艇に33のシールを貼ってしまったら

しい。」

 

外国ではヨットと言うと、40,50feet以上を言うらしい。それ以下

は、セーリングボートと言う。  してみると、35や33は、雑魚か。

 

 そう言えば、堀江謙一さんは、何歳になっても「堀江青年」とマスコミに登

場する。若い!

 

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海・千夜一話物語 第138話

 

「007は、出帆の番号」 速 報

 

 親愛なるヨットフォーラムのみなさん、うみまる情報局の発表によれば、

広島−高松間の水先案内人は、私に決定しました。

 

7月8日 007時 広島プリンスホテル(元宇品)ヨットハーバー出帆

 

 7月8日  22時 高松(?ハーバ)入港

 

やべーさん、ペラガス周辺海域の情報、入港時の諸注意事項を、そっと教え

て下さい。

 

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海・千夜一話物語 第139話

「コーヒーを、すすりながら見付けた”夢航海”」 

 

 娘を駅に送っていく時は、スタートギリギリを狙っているから、つい暴走族

になってしまう。電車に間にあったのを見届けてから、行き付けの喫茶店に立

ち寄る。

 ヨット乗りの自分には、店の名前にやや抵抗もあるが、350円のコーヒー

にゆで卵が付くことと、ママさんの60代の義理の兄さんが、葉山で現役のデ

ィンギー乗りと言う事に敬意を表して、隠忍自重である。

 店の名前を「チロル」と言う。

 暴走の反省をするために、書棚の文献を紐解きながら、心静かにコーヒーを

飲み、ゆで卵の殻をむぐ。卵の殻を割りながら、時に割れ方に神の啓示を感じ

ることがある。

 「人間、一皮むげなきゃー」

 

 この文献は、嬉しいことに毎週表紙が変わり、グラビヤも変わる。ヘアーヌ

ードなんぞが表れると、ページを飛ばすことにしている。

 何しろ過去に見すぎて飽きたもので・・。

 今日は一瞬、長川艇長の航海記かと、目を疑うページに出くわした。

カラーページに「男の夢航海」と大書してある。艇長はパケットから鞍替え

して、こんな所に大枚をつぎ込んでいるのかと思い、夢中で活字を拾った。

 

 

「男の夢航海」

 大海原の彼方、宇宙原の彼方、何億光年はるか。

 はてしない夢を語り合おう。あてのない冒険に出かけよう。永遠の夢呑人よ。

 ステラコウネン「トウモロコシ・大麦製焼酎、アルコール分20、25、30 %」

 

三重県の酒造メーカーの「光年」と言う名の焼酎のコマーシャルページだっ

たが、気に入った勢いでダイヤルを押した(?)。

 

 ヨットYUMEさんは、ビールで冷蔵庫が一杯だと聞いたが、このボトルを一

本進呈しましょう。

 このボトルが入るスペース分だけの、ビールを飲んでも良いと約束してくれ

たら・・・・。

 

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海・千夜一話物語 第140話

        「なやむ(786)石段」

 

 河野隻腕阿波守(こうのせきわんあわのかみ)海族情報ありがとう!

 

河野さんによって、だんだんと私の位が上がっていくので、私も河野さんに

サーの称号(実は”守”)を差し上げようと考えた。

 

隻腕を意訳すればシングルハンド、阿波守は直訳してアワモリ(沖縄の焼酎)

 しかしして、その実体は、シングルハンドの鏡であり、物事に熱中してすく

に酔う。

拙者、水先奉行 石川備後守(びんごのかみ)は、名をやや改めて、

         石川便乗守只乗(びんじょうのかみただのり)を名乗ろう。

 

 岡山には、昔から両まいりで有名な、寺がある。四国の金比羅宮と両方にお

参りしないと霊験あらたかでないといわれている、由加山蓮台寺である。

岡山の人と、対岸へお参りにいくと言うことは、「灯台元暗し」か、はたま

た「隣の石段は低く見える(?)」かな。

 

金比羅には悩む石段、786段の石段がある。語呂が悪いので、本殿下の

手水場の所だけ一段下げてあると、隣の団体のガイドさんがメガフォンを

使って小声でしゃべっていた。

 ガイドのおっちゃんが、こうも言った。

 「金比羅宮では、四回、手を合わせます。」

後ろから上がってきた別の団体のガイドが、答えていた。

 「四回合わせる。つまり、シアワセと言う意味です。」・・・と。

 

 時に、せきわんあわもり殿。貴地における取り調べの情報もお知らせ

下さい。

 

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海・千夜一話物語 第141話

「うみまる・会った」

 

新幹線と市内電車とタクシーを乗り継いで、前日(7/7) の夜、広島市宇品

のプリンスホテルへたどり着いた。

フロントで「うみまるの・・・」と言いかけると、全部聞き終わらない内に

部屋のキーを手渡してくれた。添畑カメラマンとそのスタッフとの相部屋だと

聞いていたので、このぶんでは、誰も居ない部屋で彼等を待つ事になる。

 

彼等が帰って来るのを小一時間と読んで、階下のマリーナサイドのビアガー

デンでビールを飲みながら待つことにした。

 

 夜になるとポンツーンの出入り口は施錠されるので”うみまる”に触ること

は出来ないが、見ることは出来る。

 

 「海から見よう!日本」と書いたキャンペ

ン用の派手な幟が西向きに流れて明日の向かい風航海の前途の多難を暗示する

ように思えた。

 

 

 

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海・千夜一話物語 第143話

「うみまる・乗った」

 

 広島プリンスホテルのマリーナに係留された”うみまる”にセーリングチー

ムの艇長難波誠、以下5名が乗り込んだ。

 彼とは、この時初めて顔を合わせた。

 「初めまして」次にどう出てくるか。お辞儀か会釈か握手か。

「よろしく」と分厚い手を差し出した。アメリカナイズされてるな。でも、

ためらうことなく、自然に手が出てくるのが感じが好い。私も、彼と目線を合

わせて手を差し出した。

 ただ我ながら少し格好が悪かったかなと気になった。と言うのはこうである。

 「やあ、どうも」と言いながら近づいて来るから、即応して、「初めまして

・・・」とお辞儀仕掛けたときに求められた握手だから、お辞儀握手になって

しまい、やや卑屈な姿勢になってしもうた。

 

乗り組むメンバーは、非常に印象の好い人達であった。なごやかで、気取る

ことなく、なれた手つきて淡々と事が運ぶ。難波艇長も話好きで何時も冗談を

発している。レース艇で無いからこの雰囲気なのだろうが、改めて、「レース

は人を変える」と思い知らされた。

 

 秋和良於:広報(情報発信) フリーランスのジャーナリスト Yacht

      −ing誌にも執筆。世界のヨットレースを取材。

 

山本秀夫:メカニック担当  ニッポンチャレンジ<ニッポン>の建造、メ

      ンテナンス要員として活躍した。

 

高桑秀明:クルー、厨房要員 青森県津軽郡から出稼ぎクルー(本人の弁)

 

土井 功:Y新聞社記者(難波さんと同郷のよしみ?)一日同乗体験取材

 

石川雅敏:水先案内、口先案外。

 

 

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海・千夜一話物語 第144話

「うみまる・語る」

 

 7月8日朝7時の宇品は曇り、北の風3 ̄4m/sの風が。アビームで走れ

るから条件は決して悪いものではないが天気予報が気がかりだ。

 TVの予報では「広島県東部の空模様は、大雨の降る恐れがあります。・・」

 マリンブーツは荷になるからもって来なかったが、「まあ、いいか」足が濡

れるのがイヤなら、ヨットから足を洗うか。

 

 難波さんの手で、エンジンが回り始めた。

 散歩中の犬や猫に同情されながら、静かに桟橋を離れた。

 真東に戦艦大和を建造した海軍工廠のあった呉の町が見えているから、近い

ものだ。視界はやや好し。海軍兵学校のあった江田島は目の前。音戸の瀬戸ま

で1時間40分で着く。

 

ゲストには与えられた明確な役割はない。もう一人のゲスト(?)のY新聞

大阪編集局写真部の記者と私が両脇を固めて阿吽の呼吸で質問を出し、聞き耳

を立てる。

 難波さんはきさくな人で、四方山な話が切れ目無く続く。朝食のおにぎりを

左の頬にほおばりながら、右の頬に空気を吸い込み、うみまる寄港地での話に

花が咲いた。

 

また、動機を語って曰く。

「ヨットはおそらく人間が自力で動かす一番大きな乗り物だと思う。それが

風と同化してスーと海面を滑っていくその姿を見て、言い様のない魅力にとり

つかれた」

 

そんなときの彼の顔は、真っ黒に日焼けして、ところどころ皮がむげ掛かっ

てはいるが、何かを成し遂げた男の自信と満足感で、てらいのない好い相好を

見せていた。

 

 

 

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海・千夜一話物語 第145話

「うみまる・海峡を越えて」

 

 潮汐は6時間毎に干満を繰り返して、東へ西へと流れを変える。

 私のホーポートの鞆の浦沖当たりが、瀬戸内の潮の合流離散地帯です。瀬戸

内海のヘソと言われる所以である。

 

 また、高松までの航路の中で、潮流の早いポイントが三カ所ある。

呉市音戸町と倉橋島間の音戸瀬戸(幅50mあるかなしか)、船折瀬戸(1

00m内外)と備讃瀬戸(瀬戸大橋の下をくぐる)である。

 広島−高松航海では、この三カ所でタイミング良く順潮に乗れるかどうかが、

ネックになる。

「家と家の間から突然、本船が現れるんですね。」と誰かが言った。

 面白い表現だが、まさにその通りである。

 音戸の瀬戸は、その表現の通り、西から東へ向かうときは、崖っぷちの団地

の家々と水道を挟んで手前の倉橋島の鼻の家とが重なり合って、同一の団地の

一部と錯覚させられる。

 

ここを通過するには、団地の崖に向けて真っ直ぐ走り、ぶつかる手前で直角

に右折する。赤いループ橋の下を抜けたら、倉橋島の砂浜へ乗り上げるように

直進する。正面に赤白まだらの転回点を示す灯浮標あり、それに向かって左か

ら高速船でも突進してくると、衝突を避けるために極端に右へ逃げたくなる。

ここは、迷ってはいけない。目をつむってブイまで直進するしか手はない。

 

 早い話が、直角に右折、直進、直角に左折の鍵状水路である。

 

この狭さに加えて、広島−松山間の高速艇、カーフェリーの頻繁に通過する

過密航路にもなっているから、眠気も吹き飛んでしまう。

 

 

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海・千夜一話物語 第146話

「うみまる・安芸灘を行く」

 

 名にしおう急潮流と狭水道の音戸の瀬戸を抜ければ、東から南にかけて急激

にその視野が増してくる。

 広島、呉方面からの船舶が瀬戸で収束して、安芸灘では三つの方向に散開し

ていく。

 南方向は松山、南東に来島、今治、東航路を辿れば本土の沿岸コースになる。

本土沿岸航路では、最高潮流は3ノット程度だが、来島航路では最高10ノ

ットを超えることもある。昔はこういった急流の海域は海賊達の跳梁ばっこの

舞台であった。そしてまたロマンと伝説が生まれた。

 

 「船頭可愛いや音戸の瀬戸で  一丈五尺の櫓がしわる」

 

 音戸ノ瀬戸は、古くから天下の名勝として知られ、幅70mの瀬戸はもと地

続きであったのを平清盛が開削したと伝えられている。

 あるとき、清盛が宮島の厳島神社に詣でたときのことだ。彼は神殿で絶世の

美女を見染めた。そこで言い寄ると、美女は「一日で音戸に瀬戸を切り開きま

したら御意に従いましょう。」と答えた。「ねえキーさん、あそこを切り開い

てくれたら、今夜はON THE BED WITH YOUよ!」

げに女の力は、チョメチョメチョメよ。

約束の7月16日未明に始まった工事が、あと一息というところで、陽が西

に傾いたので、清盛は日招山に登って、沈みゆく太陽を扇であおぎ返した。こ

うして、ついに瀬戸の開削工事を完成したが、そこに美女の姿は無かったという。

その美女は、厳島の女神であったと伝説は伝えている。

 げに女の口はチョメチョメチョメよ。恐ろしや。

 

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海・千夜一話物語 第147話

「うみまる・航海ゲーム」

 

 この度の、今様航海のゲーム感覚の一端をあげてみます。

 

 何と言っても、携帯電話とパソコンであろう。

 

 これを担当しているのが、Ychting社の秋和さんである。時々キャビンへ入り、

I*Mのノート型パソコンを開いてキーボードを叩いていた。

 接続の携帯電話を通してインターネットに開設した「海から見よう!日本」

キャンペーンのホームページに書き込みをし、また山間の子供達の質問にも答

えを書いたりしていた。リアルタイムの航海記とでも名付けたらぴったりだ。

 

この時、既に長野県野尻湖周辺の子供達とコネクトし、三重県四日市市でう

みまるへ招待の運びとなっていると聞く。

 

 近い将来必ずなるであろう衛星利用の電話を使えば、グローバルな範囲での

航海中あるいは停泊中のヨツトマンとメールのやりとりが出来る。

 

 「こちらはマルセーユ港停泊中、NO.3バースのヨット・くりんとん号、

ヨット・しらく丸はどちらですか。」

 「こちらは、しらく丸。マルセーユ港NO.5バース、停泊中です。」 

 

この方法で航海記の原稿を送れば、帰国する頃には航海記が出版されて居るで

あろう。「

 電話の掛かってこないから、安心して羽根を伸ばせる」遊びがヨットであっ

たが、今やヨットのトイレの中まで捜索の手が伸びる。

 

 天気画像も短波放送を使った気象Faxではなく、インターネットの気象関

係ホームページから、すぐに天気図がもらえる。

 

 

 

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海・千夜一話物語 第148話

  「うみまる・女郎の島」

 

 男は腕っぶしは強いが、曲線(女とヨット)に弱い。

かって遊女が、船舶改良に寄与した島がある。

音戸の瀬戸を抜けて、東に約15マイル、二時間強の所に大崎下島がある。

この島の東端に御手洗(みたらい)という町がある。

 参勤交代の大名船や商人の千石船がのどかに航行した時代のことだ。

 この御手洗港や北隣りの大崎上島の木江港は当時重要な寄港地となっていた。

ここに立ち寄る船の、客の争奪を目指して、夜伽の女を送り届ける”おちょろ

船(お女郎船)”と言う改良されて俊速を誇る手漕ぎの船があった。

 夕靄がたなびく頃になると、沢山の”おちょろ船”に、ふくよかな乳房もあ

らわな女達が、潮風に乱れるほつれ毛を気にしながら、水夫を相手の一夜妻の

交渉に先を争ってやってくる。

 一人でも早く良客を得ようとする必要が、造船技術の発達、発展を促し造船

業が盛んになったと伝えられている。

 

余談だが、吉田松陰、坂本龍馬をはじめ三条実美ら”七郷落ち”の公郷たち

も、この港に泊まったと言われる。また、オランダ人のケンペル、ツンペルク、

シーボールトらも、一夜の夢をこの港にとったことが「参府紀行」に記録され

ている。

 

もちろん、”うみまる”のスタッフには、この話は聞かせてはいない。

すれば、高松入港は確実に、午前様になる。

 

 御手洗港を素通りすれば

              あの妓 祈るか 風変わるヨ。

御手洗女郎衆の髪の毛は強い

              上り下りの船つなぐヨ

 

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海・千夜一話物語 第149話

     「うみまる・神の島三島」

 うみまるは、キャンペーン用のメインセールだけは揚げて走るのがこの度の

義務である。

 音戸の瀬戸を抜けて2時間程は、北の風をアビームに受けて、エンジンを切

り、メインとジブだけで唯一のセーリングを楽しんだ。その後はずーとクロー

ズではあったが、風が艇のま向かいに回らなかったのがもっけもの幸いであっ

た。

「若胡子楼の白壁に残した呪いの血の手形・御手洗のおはぐろ怪談」の大崎

下島を横目に見て約1時間、内海屈指の大きい島、大三島が迫る。

 瀬戸内海には、有名な三大神社がある。庶民的な海運の神様、金比羅宮。雅

やかな宮島は厳島神社。そしてこの大三島は大山祇(おおやまずみ)神社であ

る。

 この神様は、鉱山と戦の神様である。従って、古今の武将自ら鎧兜を奉納して、

戦勝を祈念した。

 これらは皆国宝である。中には、平氏を追う源義経の甲冑もあり、国内唯一

の女性用の鎧もあり、国宝級甲冑の全国の8割が収納されている。

この大山祇神社の氏子のうち、最大の有力者であったのが、河野一族(JA

5CLB)である。

 首領の河野道有は、北九州に現れた蒙古の大軍と戦うために一族の水軍を率

いて勇躍征途にのぼることになった。神の加護を頼んで、叔父の河野伯耆守通

時と二隻の船を漕ぎ出して、敵の真っ只中にとびこみ、孤軍奮闘の末、目指す

敵の大将をを生け捕りにした。その夜、激しい台風が吹き荒れて敵の船団は殆

ど玄界灘の藻屑と消えた。

河野さんは、阿波守では無くて、”ホウキの守”だったのか。

 道理で、掃除がうまい。

 

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海・千夜一話物語 第151話

「うみまる・ミスコース」

 最近の海難事故による沈船から漏れて海面に浮き上がってくるオイルに中和

剤を撒いているサルベージを遠巻きに避けて通過した。

西瀬戸横断道路の伯方−今治間の出来上がった橋脚が見える。確認するだけ

で終わってしまうのだが、久方ぶりに瀬戸内を航行してみるとその変わりぶり

が良くわかる。

 うみまるは、少しずつ大崎下島から南東にコースを変えていく。

 このままだと来島海峡を通過するかもしれない。

 この海峡は最高潮流は10knotを超えるので、順潮に乗ればコース短縮

になると思いがちだが、南に走るので距離が伸びて得策ではない。

 伯方島と伯方大島の間に船折瀬戸というのがある。ここを抜けると来島海峡

より2割方スピードは落ちるものの走行距離では相当の短縮になる。

 是非ここではS旗を揚げたい。

 しかし献言はするものの相談を受けた訳ではない。

 昨晩の添畑さんの何気ない質問が、気になった。

 「石川さん、大三島から伯方、伯方大島へ行くのは、竹原(広島県)からフ

ェリーで行くのが良いだろうか。それから、大島から今治へもフェリーで行け

るだろうか。」

 うみまるから、陸援隊添畑さんに電話で確認をとったら、船折瀬戸が見下ろ

せる伯方大島の山の中腹にカメラをセットして待機中である事がわかった。

舵を思いっきり左に切った。GPSにインプットされた次のターニングポイ

ントを伯方大橋に変更した。

エンジンの回転を上げた訳ではないのに、対岸の変化が早くなった。

 潮流は東へ転じて間がないのに、対地スピードは8ノットを超えた。橋がグ

ングン迫ってくる。

 陸援隊の姿が見えない。撮影するならこんなアングルが良いだろうなと思い

つつ海峡を見おろす石切場の急峻な坂道に黄色の建設機械が見えた。

 その左横に、カメラを構えた人物二人が、まさにうみまるに向けて引き金を

引こうとしているのが見えた。

 逃げろ!

まるで川の様な急潮流に乗って、芸予諸島の島嶼郡は無事抜けた。そこには

備後灘と燧灘の広々とした海域が開けてきた。

 村上水軍の本拠地を後にして、安堵の胸を撫で下ろした。

 「村上海賊に通行料(座礁)を取られずに済んで良かった。」

 

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海・千夜一話物語 第152話

   「うみまる・瀬戸大橋」

 船折瀬戸をクリアしたのが、7月8日の13:00ごろだった。

 まさにそこは川である。河ではない。とにかく狭い。ごうごうと流れる潮流

に乗ると、無風の時でも風を感じる。

 吐き出されるように出た所は、燧灘、備後灘の広々とした海域である。目の

前に高井神島が霧雨の中に霞ぼかしに見えた。

 この島は、高松方面から四国沿岸を西に走る別府航路が、今治方面へコース

を変えるターニングポイントになっている。

 

 天気が良い日だとこのあたりから瀬戸大橋が見えるが、あいにくの小雨模様、

そこより近い我がホームポートの鞆の浦さえ見えない。

 香川県三崎半島に近ずく。ここらで、「恐れながら・・」と艇長の承諾を得

ていたハムを料理することにした。HAMである。

 

 「CQ,CQ,CQ ただ今うみまるの上からON AIRしています。ど

ちらか・・・・・こちらは、JA4QEYマリタイムモービル」

 「JA4QEY/MM こちらは JA4SHF 内海町固定」

友人の村上さんから応答があった。内海大橋のノースポイントにある喫茶店

の屋根の上に台風でお辞儀したままの八木アンテナが有ったのを思い出した。

わざわざこの交信の為に直したのだろうか、好く届いている。

 430MHZ帯で、シンプレックスと439.68MHZのレピーターで交

信して、439.72MHZの小豆島寒霞渓のレピーターで、打ち合わせも何

もしていない矢部さんのコールサインを呼んで見た。彼でなくても釣られて誰

か出てくるかと期待したが、応答は無い。

 こんな時は、仲間内ではこんな事をしていた。

電話をして、「オーイ、用があるんじゃ、無線へ出てくれ。」?!?!

 

瀬戸大橋が迫ってくる。この海域は、昔よくセーリングした所なので、懐か

しい。しかし、昔とどこかが違っていた。どの島も、どこの海岸も、昔砂浜だ

った所が、殆ど白いコンクリートの壁になっていた。家々と砂浜が繋がってい

ない。

 この一幅の絵も、民家と砂浜の間にマスキングテープを張り付けた様な光景

に変わっていた。

 

ミケランジェロが、大きな大理石の塊を凝視して、こうつぶやいたと言う。

「ウーン、この中にダビデ(有名な彼の作品の人物)が眠っているのが見える。」

 

災害対策と離島振興の名の下に、予算を目一杯消費しようとする業者の思惑

があの壁の中に、ワシにでも見える。

 

ワシは、平成のミケランジェロか。

 誰かが言った。「お前は、ミトランジャロ(見ておらんじゃろぅ)」

 

 

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海・千夜一話物語 第153話

「うみまる・高松見えた」

 大槌島、小槌島の間を抜ければ、1時2時の方向に不夜城、高松が見えた。

 栗林公園の紫雲山の影が見えた。紫雲丸。死運丸。縁起が悪い。

 自分の小学生の頃の修学旅行の忌まわしい海難事故を思い出した。

 高松から岡山県宇野港へ向かう「紫雲丸」が、霧の備讃瀬戸で貨物船と衝突

沈没して、多くの小学生等の犠牲者を出した。

 自分達の修学旅行団も、一週間後にこの船に乗る予定が組んであった。

 丁度、うみまるが、今走っている海域である。九死に一生である。

 

 間一髪というのもある。当日あの船に乗船予定の修学旅行の団体が、乗船時

の点呼で学生が一人足りないことが判明。急遽乗船を遅らせて不明生徒の捜索。

 皮肉にも、足止めを喰った連中が、悔しさで見送った紫雲丸の遭難を、高松

港の構内放送で聞く羽目になったと言う。 

 

「海から見よう!日本」

 ”街の明かりが、とてもきれいなヨコハマ・・・”ブルーライト・ヨコハマ。

一世風靡した好い歌である。

確かに、高台へ上がれば、街の夜景は綺麗である。これは陸からの視点である。

 これを海から見れば綺麗では済まされない。特に夜間入港中の船舶に取って

はこのきらびやかさが問題になる。

 灯浮標が高輝度の街の灯にオーバーラップして見えにくい。

 むかし広島湾で夜間航行中のモーターボート同士が高速で衝突して、沈没死

亡事故が発生した。これも移動する相手のモーターボートの灯が対岸の電車か

車のライトの動きに同期して衝突寸前まで気が付かなかったのが原因とされて

いる。

電話の指示では「女木島(別名鬼ケ島)の灯台を狙って東進、真南にOcc.

G.6sec.のペラガス入港目標が見えるところで、転回しなさい。」と言

う事だった。正面に女木島を捉えて走ると、その左に屋島が見える。

 一方女木島の左、北東方面に小豆島が霞んで見える。その西隣が、今グリー

ンピースに目を付けられている豊島(てしま)である。

 都会からの産業廃棄物を勝手に引き受け投棄していた。地中深くダイオキシ

ンが浸透し海に漏れだし、養殖の漁業にも深刻な影響が出ていると問題になっ

ている。

 

 

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海・千夜一話物語 第154話

最終回 「うみまる・みんな見えた」

 

「海から見よう!日本」

 音戸の瀬戸を抜けて東へ約1時間の所にも、最近週刊誌で取り上げられた、

ゴミ捨場にされた島、上黒島があった。

 船の高さから見れば、ゴミ捨て場がのぞけない様に周辺の樹木を残して塀の

如く、自然の如く装い、中心部は掘り下げてゴミを有料で投棄させている。

 これが、周辺には、もう捨てる所の無くなった埼*県のゴミを引き受けいる

と言うから皮肉である。

 この下蒲刈町の町長はユニークなワンマン町長である。

 小さな島に、蘭島美術館なる和風の豪華美術館を作ったり、何かと話題にな

る人である。

 私の憶測だが、島の景観、自然破壊をした金で、美術工芸品を買いあさり、

屋内に展示して悦に入る。

 海に浮かぶ、一幅の絵には一顧だにしない。

 

「海から見よう!日本」 

 映画スタジオのセットの様だ。陸に起居する人々は、海を背景にしたセット

の豪華さに喜び、記念写真などを撮ったりしながら、見える部分だけの美しさ

に満足している。一方海から眺めると、映画セットの裏の醜さが丸見えである。

 ただのベニヤ板に突っかい棒、ハリボテの彫像、鐘突き堂。ただ鐘の響きだ

けは裏にも表にも伝わっていく。次代への警鐘の如くに・・・。

 

 「海から見よう!日本」

 海は漁師のゴミ捨て場。冬には、本土側は綺麗になり、夏は四国側が綺麗に

なる。冬の北風や夏の南西の風によって、ゴミが対岸へ流れ去る。海から見れ

ば、瀬戸内海のゴミが右往左往しているだけなのだが。

 

”見えた見えたよ 松原越しに ・・・丸に十の字の帆が見えた” 

 鹿児島小原節の一節であるが、そうも言っておれんでよう。

 ”見えた見えたよ 松原越しに 赤や茶白の 派手な 屋根 ”

 ”見えた見えたよ プラスチックのゴミが 空にゃ天の川 海にゃゴミの川”

 

 

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 海・千夜一話物語 第142話          Date: 13 Jul 96 11:49

 

           <<我が愛する造船所>>

 

 先日の、船橋のミクロネシア!!の話しをしませう。

 

 船橋港より西に数キロの所に、くだんの造船所がある。

余りにも良心的なオーナーに要らぬおせっかいをして、ご迷惑を掛けぬ様匿名

での紹介である事をお許し願いたい。

 

 関東地方を初めとして、木造の和船を作る造船所はとみに少なくなった、こ

の造船所も同様で、ときたま、「トラさん」で有名な東京葛飾柴又の近く水元

公園のへら鮒つり用に和船を作っている船大工がこの造船所のオーナーである。

 

 主は、今では極めて希な、奉仕心と、きさくな人柄で、海を愛する若者(主

より若い人は50歳でも若者という!)の遊びを応援している。

 信じらせれない話しだが、数10艇係留させている船から係留料を取らない、

電気や水道、工具類は使い放題。造船所前のポンツーン代わりの老朽船に部屋

を作り5年も住んでいる者もいる。

 只、クレーン(最大5トン)を使い上下架する時のみ金を支払うのだが、船

台使用料とか、保管料、なんて話しはここには無いのだ。

 読者諸氏には以上で、主の人柄を充分に紹介出来たことと思う。

 

 さて、当然として、船好きな人達がここに集まり、自然発生的にクラブが出

来ている。彼らは自分の得意な分野での技を提供し合ってこの造船所の運営を

応援している。

 ある者は電気関係、ある者は機械修理で、FRP技術、アルミ技術ステンレ

ス加工、ペイント、塗装、木工、そして有る者は汗を提供し協力し合ってって

いる。

 金では動かぬ信頼を基とした社会がここには存在していおり、信頼のおける

人には、彼らは自らの技術を惜しみなく提供するのである。

 

 

海・千夜一話物語  第150話

 

              「我が愛する造船所 その2」

 

 昨今、人が2以上集まるとクラブを結成し、名前をつけ、会長選挙、幹事は、

会計は、規則は、会費は・・・名刺を作り、総会を開き・・分裂・・誹謗・・

人の集まる所に必ず発生する現象「欲」!

 

 ここにはそれが無い! 自然発生に意見が出、採否が決まり、楽しい事を実

現させる。勿論、オーナーの他に、メンバーが認める会長格の人はいるのだが、

本人は至って「欲」が無く、欲無頓着なのである。これがまた良いのだ。

 

 プラタナスの大木の木陰が彼らの溜まり場である。時間が来ると誰かが、こ

れまた誰かが買ってきたお茶を入れ、作業に没頭している人達に声を掛け、木

陰でコンビニで買ってきた弁当を広げる。

 しばしば、昼食の時間は3時間位かかる話しに花がさく(花咲爺さんか?)

故に、仕事が進まぬ、時間の観念がここには無い。

 

 先日も、木陰談義で、目の前の水面にアヒルがいると絵になると提案した者

がいた。全員一致「いいなー」と言う事になったそうな。早速、あひるを12

羽購入、小屋をつくり、念願のあひるのいる風景を手に入れた。ここで、始め

て「餌を誰がやるのか? クラブ員は土日しか来ない・・毎日来る俺がやるは

めになった・・」。とぼやくオーナーには、可愛くなったアヒルと集まってく

るメンバーをこよなく愛する目があった。

 

 船橋に、こんな南太平洋があるんですよ!!

 

        ・・・ちょっと粋で、素朴で素敵でしょ・・・

 

 

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