海・千夜一話物語 第251話                「四国クルーズ」 その4  うとうとと、かなり寝たような、そうでないような。もう、昼かなって 思って起きると1000だった。  風は、かなりおさまっている。腕時計の気圧計と連動した天気予報は、 天気の回復を予想している。  佐田岬さえ回ってしまえば、北西の風に乗ってビュンビュン走れるだろ う。だが、西海までは到底無理、豊後水道北部で入ったことがあるのは、 三瓶と臼杵だけだ。どちらもコースからは、かなり外れる。  せめて、宇和島まで...と思い、チャートを見るが、何処に着けたら いいやら、さっぱり....。  色々考えているうち、日振島が目に入った。よく、魚釣に行くと聞く島 で、ヨットで行くと言う話も何度か聞いていた。豊後水道から、約15マ イル、1400位に佐田岬を通過できれば、何とかなる。  三机から、佐田岬まで17マイル。1400には、何とか行けるだろう。  もっと、行けそうならその時考えてっと言うことにして、急いで出航。  波も風もまだ結構残っているが、朝よりは随分ましだった。  機走だけで、3ノット。沖だし後、佐田岬にヘディングを向けると、何 とか登れる角度。今後、天候がどう変るか解らないので、2Pメイン。  これで、4ノット位。縄稚君は、また気分が悪くなり、風下スターンで やってる!  以前、長川さんに"舵を持たせれば、船酔いは治る"って聞いたのを思 いだし、オートパイロットを外してティラーを渡す。  3分もしないうちに"もう治った!"だって。  艇速と残航を確認すると、ちょっと遅れている。風は、更に少し落ちて 来たので、ジブを揚げることにする。レギュラージブでは、ヒールしすぎ るのでストームを揚げる。未だかつてストームは、揚げたことがなかった が、ヒール角度はほとんど増えず、艇速は約5ノットに上がった。  よしよし、これならなんとかなるぞ。  1400佐田岬通過。  バウを南に向けると、海峡特有の悪い波も豪快なサーフィングに早変わり。  走る、走る。セールエリアをもっと広げても良かったが、また、吹き上が ってくると面倒なのでそのままに。  GPSの残航が減って行くのが嬉しい。  1630 日振島の北東へ取り付く。  辺りは、少し暗くなり始めている。早く、近づきたい気持ちを押え、岩が あるので、大回りしてアプローチ。船の向きを変えてアビームになると、ま だとんでもない状況になる。ラフに着ていたオイルスキンのフードを被り、 ファスナーを上まであげる。  養殖筏が沢山あるので緊張する。湾の中に入れば、風も少しは収るだろう から、それからセールを降ろそうと思っていたが、港の入口まで数百メート ルになっても状況は変らないので、スロットルを弛め、急いでセールダウン。  港内へ入ると入口近くには、高めのコンクリート岸壁がある。また、あんな 所へ付けろと言われると嫌だなっとおもいつつ、奥へ入る。  渡船の浮き桟橋があり、あれに留められるといいな。  誰か居ないかなっと、港内を2周程回ったところで、住民発見。  "一晩、泊めさせてくださーい!"  明日の朝、0700に渡船が来るので、それまでならOKとの事。ヨカッタ  1700すぎ、桟橋に横付けし、風も結構あるので、十分に舫いをとる。  湿った衣類をそこらじゅうに吊るし、難民船状態。  御飯を焚き付けて、電話をしに行く。ここでは、縄稚君の携帯は、完全に使 い物にならないことが判明していた。  今夜の夕食は、黒豚のしょうが焼とクリームスープ。  腹は減っているが、このところ1日2食ペースなので沢山は、食べれない。  残りを無理やり縄稚君に食べさせる。  銭湯も店もないので、暇だ。  明日の計画を練る。土佐清水も頼りない情報しかないので、最悪別の港に入 り治さなければならないかもしれない。太平洋側にでると、風が変るかもしれ ない。(以前、足摺から豊後水道に入る時ひどい目に遭っているので、ちょっ と慎重)  太平洋側の余裕をみると、1100頃柏島を通過しなければならない。  ここから、柏島まで、アベ7ノットで行く計算だ。  もし、1100に柏島まで到達できなかったら、鵜来島か沖ノ島、又は四国 側の何処かに入って、明後日そこから、室戸、蒲生田を目指そう。  明日は、できるだけ早く出航したいけど、この島を出るのにちょっと不安が あるので、明るくなったら出航することにする。  うまく行けば、予定も取り戻せるので雰囲気はいい。  この辺の情報を集めようと、集落を歩き回るが、ほとんど人が出ていない。 まあ、風がピューピュー吹いているので当たり前だけど。  1人、おじさんを捕まえて話掛けるが、余り喋りたくないらしく、すぐに家 に入って行ってしまった。  東は、港の入口で北側には高い山があり、西は谷になっていて、風は、あっ ちから吹いたり、こっちから吹いたり。でも、波もないし走錨する心配もない ので安心だ。干した衣類も乾いてる。  明日は、飛ばすぞぉー!                     小林正幸 (CASSIOPEIA5 CREW) de JK4WOY@JR4ZSE.35.JNET4.JPN.AS e-mail coba-woy@fuchu.or.jp

 

 

海・千夜一話物語 第252話                 「四国クルーズ」 その5  

0500 起床。風は、昨夜よりほんの少し弱くなっているかなっという程度  空に太陽の気配が感じられるまで待機。  0540 待ち切れず、見込出航。港から出て、暫く沖出し。その間は、横か らの風と波。縄稚君は、またしても気持ち悪そうなので、湾を出たとこで、ティ ラーを渡す。  周りも明るくなってきたし船を安定させるため、2Pメインを揚げる。エンジ ンは切らない。  沖出し完了。南下だ。サーフィングして、艇速5ノット。  波の間隔も大きく、余裕があるのでフルメイン+ストーム。  メインをを大きくする時、船を風に立てると、かなりの風と波。追い風で良か った!  アクセルを少し絞り、7〜9ノット。たのしいなぁ〜!  が、油断していると、切り上がってかなりヒールする。  シーガルネットにもちょっと出る。由良岬を越え、鵜来島、西海が見えてくる。  どうも風は少しずつ落ちてきているようだ。所々、日の差しているところもあ る。でも、漁船はほとんど見なかった。 このまま、太平洋に出ると、この北風は、かなり弱まるか西の風に変るので は?普通に考えればそうだが、行ってみなけりゃ解らない。1100柏島通過の ペースで快調に進んでいる。  西海の沖にある特長的な岩たちが見えてくる。姫島、沖ノ島も見えてきた。  瀬戸内育ちの我々には、ここが日本ではないと言われても信じてしまうような 切り立ったり、尖った景色に飽きがこない。  1100すぎ、予定通り太平洋に出る。風は、西寄りの北から、東よりの北に 変り、だんだん弱くなって行く。波もすぐになくなった。  ジブを降ろし、機走+メイン+潮で、5ノット。  こらなら楽勝で、土佐清水。それも1500位には入れそう!!  トローリングをしている漁船が何杯か出ている。薄日が差してきて、かなり暖 かくなり、オイルスキンをを脱ぐ、オイルスキンの中で蒸れた衣服に風が通り、 ちょっと冷たいけど気持ちいい。  土佐清水の南西沖に変な建造物がある。4本の柱に囲まれた海底油田のリグの 様なものが...早く、ゆっくりしたいので、近寄らなかった。 (誰か知ってる方教えて下さい)  1300 入口周辺がかなりはっきり見えてきたが、どこが土佐清水港の入口 か良く解らない。チャート、GPS、コンパスとにらめっこ。  しばらくして、やっと"あそこだ!"  入口の暗礁を避け、慎重に進入。フィヨルドの様な入り江の奥に進んで行く。  魚協が見える。以前CW誌で読んだ。泊地情報が頼りだ。留める場所がなけれ ば、隣の清水港に入り直しだ。  本の情報の場所は、漁船で一杯。とても留めれそうにない。  突き当たりには、いい場所があるが、ちょっと大きめの漁船が帰ってきそうな 雰囲気。他に置けそうなところは、浅い所やすごく不便な場所なので。このいい 場所に何とか...  近くの漁師さんに聞くと、"うちの隣につけたらええ"。ラッキー!!  1530 カンカーを入れ、バウ付け。  舫いを調整しながら、銭湯の情報を仕入れ、近くにあるというのでウキウキし てくる。GSも目の前にあるし、繁華街(?)へも徒歩3分だ。  縄稚君が燃料を買いに行っている間、船内の片付けをする。天気も小春日和で、 暑いくらいだ。  銭湯のオープンまで時間があるので、ビールを開ける。今クルージング初めて のビール。旨い!!やっぱ、ヨットにはビールが合うぜ!  この3日、ちょっとハードで疲れぎみの身体にグングンアルコールがまわる。  1600すぎ、銭湯に行き、唸る。帰り際、番台のおばちゃんに寿司屋の在り かを聞き場所を確かめておいて、一旦船に帰る。TVで天気予報を見て寿司屋へ というシナリオだったが、なかなか天気予報が始まらない。2人とも昼を食べて いないのでお腹がグーグーいっている。                     小林正幸 (CASSIOPEIA5 CREW) de JK4WOY@JR4ZSE.35.JNET4.JPN.AS e-mail coba-woy@fuchu.or.jp

 

海・千夜一話物語 第253話                 「四国クルーズ」 その6  

明日、明後日と天気はよさそうだ!  静かな港に入った安堵感と銭湯の暑い湯の疲労感で眠気が襲ってくる。  漁師町で旨い魚を喰うんだ!と元気を出して立ち上がる。  満寿司店内に入ると思ったより、あか抜けているのでちょっと残念だった。  とりあえず、生ビールで乾杯。陸酔いとアルコールですぐにクラクラしてくる  "うーっ、早く食い物出してくれぇー"  さすが、漁師町だけに1品の量が多い。あん肝も気持ち悪くなる位食べた。  ブリがこんなに旨いものとは知らなかった。  これで安けりゃ言うことなし、が、お勘定はそこそこのお値段でした。  景色に溶け込まない2人は、フラフラと船に帰るのでした。  晴れているせいか湯冷めしたのか、寒い。  明日は、オーバーナイト。揺れない船内で早々に寝る。                     小林正幸 (CASSIOPEIA5 CREW) de JK4WOY@JR4ZSE.35.JNET4.JPN.AS e-mail coba-woy@fuchu.or.jp

 

海・千夜一話物語 第254話                「四国クルーズ」 その7

11月20日 0530起床  今までよりちょっと寒い。  隣にいた漁船は、すでに漁に出ている。ぜんぜん、気付かなかった。  明るくなってから、出航するのでゆっくりと朝食をとる。  しっかりと休養して2人とも元気。  0620   舫いを外し、波のない港にプカプカと浮びながらロープを片付ける。  港と入り江の景色を楽しみながら、ゆーっくりと船を走らせながら、 土佐清水をでる。  メインセールを一人で揚げていると縄稚君がトイレの調子が悪いと言う。  セールを揚げ、私もトイレにこもるが、以上なし???  トイレのハッチから前を見ると、本船が来ている。縄稚君は、気付い ているようだか、方向を変える気配がない。  そこそこに済ませてコックピットへ行き、転舵。"こっちへ来ているとは 思わなかった"と縄稚君。もう、行き合い位はできるかと思っていたが、 先生がぶっきらぼうなので.....  やはり、寝させてはもらえないようだ。  足摺の西で、潜航板を流す。逆光なので釣れないだろうと思ったが、足摺 を越えると、40cmのシイラがヒット。続いて30cmの鯖、50cmの シイラと実に適当な間隔で釣れる。  シイラを食べたことはあるが、姿を見るのは初めてだ。キラキラ、ウネウ ネとするその姿は、初めて太刀魚を見た時よりも感動した。  が、釣ったもののまだお腹は空いていないので、リリース。  風は、北東の風で弱い。"いい風になったかな"っと、ジェノアを揚げて もすぐに正面に回ったり、弱くなったり。その度にジェノアを揚げたり、降 ろしたり。相変わらず、エンジンを切れない。  室戸を廻ると天候が激変することがあるので、なるべく早く、室戸に達し、 アドバンテージを作りたい。  潮に乗って6ノットはキープしている。  今日は、天気もいいし波もないので、縄稚君は、ナビゲーションの勉強。 ノット、マイル、真方位、コンパス方位、ヘディング等々。  とりあえず、1時間おきにGPSからチャートへ船位を入れてみたら? と、いうと面白がって30分おきに位置を入れている。  だんだん、すばやく位置を入れられるようになっている。  足摺が大分霞んできた。  航路の脇を通っていたら、網が入っていたので、小さく(?)かわした。  目印のブイをすぎて潜航板が浮いてくる。網が入れてあるだけあって魚が いるなぁ。っと思って急いでラインを手繰るとかなりの手応え!  こりゃ、でかいぞ!と思った途端、バラしてしまった。  逃がした魚は大きいなぁー。と思いながら、後をみてると、網の目印が すーっと動いている。ありゃ、網に引っ掛けたか。まあ、外れて良かった。  が、仕掛けを手繰ってみると、一番先端に付いているルアー(ツノ)が ない。あれに一番喰い付くのにぃー。ガッカリ。  まあ、まだ釣れるかもしれないのでそのまま流しておく。  縄稚君は、昨夜余程食べ過ぎたのか、またトイレにこもる。  暫くして、"流れなーい"と出てくる。行って見ると、水洗と排出の切替 レバーが動かない。  仕方ないので、バケツに海水を汲んで行って流す。トイレが、壊れるとは、 困ったなぁ。夏なら、スターンででもできるけど、寒いからねぇ。  陸が見えなくなった。  縄稚君は、360度"海"っての楽しみにしていたので、キャビンの上に立 ったり、バウに行ったりして、吠えている。  水平線が霞んでいるのでちょっと残念だ。  あまり、お腹が減ってないので、昼は軽くカップラーメン。  暇なので、ラジオを聞いていると、猿岩石が飛行機に乗ったとかいってる。  縄稚君は、居眠っているので、夜に備えて昼寝をしてもらう。  相変わらず、弱い前からの風。  この時を過ごす為にこの四国の反対側から来たんだなぁ。そして、反対側か ら、ホロホロ3の溝田さんが、こっちへおいでって言ってたなぁ。  今更ながら、海はつながっているっと感じる。 "行ーってみたいなぁ、よそのくーにー"                     小林正幸 (CASSIOPEIA5 CREW) de JK4WOY@JR4ZSE.35.JNET4.JPN.AS e-mail coba-woy@fuchu.or.jp

 

海・千夜一話物語 第255話           「海では動作が言葉」  

コロンブスは、インディアンの気を引くために、太鼓をたたいて若いクルー に踊らせた。

ところが、インディアンは、その踊りを戦いの踊りと勘違いして、 攻撃して来たという。

笑い話ですんでいる内はいいが、笑えない勘違いの方が冒険の歴史には多い。 ちょとした、

誤解、伝達不足が、冒険者に死をもたらす事もある。  

最初のアクアラング潜水者だったクストーの5000回にも及ぶ潜水経験の 中で最悪の事態

が起こったのも、ちょっとした勘違いが原因だった。

船上の仲間と取り決めた信号方法は、「下から綱を一回引っ張ったら、綱の たるみをピンと張

れ。三回引いたら、もっとロープを出せ」だった。

さて、水深60mで、一緒に潜っていたデューマが、窒素酔いで昏睡に陥っ た。デューマを引

きずりながら、綱を掴んでグイ、グイ、グイと三歩登ったと ころで綱が伸びてきて、さらに深み

へ落ちた。

船上では、「もっと綱を出せ」の合図と勘違いしたのだった。

 もっと悲惨な例もある。  遭難した漁船員が、夜中に漂流中、他の船舶の近ずくのを見た。

天の助けと 喜んで、懐中電灯を振って「おーいおーい」と叫んだ。すると船はくるっと曲 がって

去って行ってしまったのだ。

懐中電灯を横に振ったのを「こっちへ来る な」の合図と受け取ったのだった。  

苦渋を嘗めた先人達の経験と知恵が、現在の伝達手段のモールス、手旗、国 際信号に生か

されていると言う。

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海・千夜一話物語 第256話      「海と酒と・・」  

「老人と海」「海流の中の島々」等々で有名なアメリカの文豪ヘミングウエ ーは、キューバはハバナに住んでいた頃、お気に入りのバー、フロリディータ で朝からフローズンダイキリを楽しんでいたそうだ。  クラッシュドアイスにホワイトラム酒とホワイトキュラソー、レモンジュー スをミキサーにかけて、シャーベット状にしたものである。    昔からラム酒とセーラーは切っても切れない関係だったという。  大航海時代の帆船は、皆このラム酒を乗せていたそうだ。  ラム酒はスラングで「ネルソンの血」と言うそうだが、その由来はこうであ る。 昔、トラファルガー沖の海戦で戦死した大英帝国のネルソン提督の遺体を、 腐敗を防ぐためにラム酒に漬けて本国へ持ち帰った事に由来する。  さて、有名な戦艦バウンティ号の食卓風景は異様であった。  荒くれた男達が、乾パンでテーブルをカッカッカッとたたいている。  何をしているのかと言うと、じつは、乾パンの中に穴を空けて潜り込んでい るウジ虫を落としているのだ。  食事時になるとこの音が船内に響きわたったという話だが、おもしろい事に セーラーが食べるのは、虫が穴から転がり落ちた物に限っていたそうだ。  綺麗な乾パン、つまりウジ虫も敬遠した乾パンなんぞは人間様が食するのに ふさわしくないと言う理屈である。  この頃の乾パンは、まるで木の如く恐ろしく堅い物だったというが、ラム入 りの水無しには胃袋に流し込めなかった。  長い航海で腐り掛けた水も、ラムで割れば飲む気になるし、男ばかりのすさ みがちな空気もラム酒の力で和らいだというわけである。 <<< ここは瀬戸内ど真ん中・坂本龍馬のいろは丸記念館のある鞆の浦 >>> <<< 凾c  De JA4QEY @ JM4WJT. 35. JNET4. JPN.AS >>> <<< ■■ QTH:Fukuyama-city Hiroshima-pref. QRA:M.ISHIKAWA >>>

 

海・千夜一話物語 第257話                 「世界最大の帆船」      

<<<<<<最大の帆船>>>>>> 世界最大の帆船は、フランスのボルド−で進水した「フランス2世号5900ン」 鋼鉄船体・5本マスト・全長127・4mのバ−ク型帆船。 基本的には帆船として設計されたが、蒸気機関2基を装備している。 1922年南太平洋のニュ−カルドニア島沖で難破。 世界でただ1隻の7本マスト帆船は、1902年マサチュ−セッツ州クインジ−で建造された全長114mのト−マス・W・ロ−ソン号(5300総トン) 1907年12月15日に英国海峡で沈没。 世界でただ1隻現在する第一級の帆走戦艦は大砲104門を備えた英国海軍の ビクトリ−号で、オ−ク材約2200本を材料に建造され、1759年7月に ケント州チャタムで進水した。 1805年10月のトラファルガ−沖海戦では、ネルソン提督の旗艦を務め、のち提督の遺体を乗せて44日後にジブラルタルからポ−ツマスに寄港した。 1922年、船体はポ−ツマスの第二ドックに移され、保管されている。   世界最大の現役帆船 ソ連のグルゼンシュテルン号、全長114mで1926年に進水、現在はカリニングラ−ドとムルマンスクの両商船学校で練習船として活躍中。         de JO1OEN/MM 練習船(OB)                      M.SATO  ∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽

 

海・千夜一話物語 第258話 航海記 「 上海帰りのベラ」 その2

私、今流行りのリストラの渦中にあり、寄稿がストップしておりま たが、しばし落ち着きましたので、再び報告させていただきます。 さて、多少のゴタゴタはあったものの無事出航した我々4名+水先案内人は、 朝モヤにけむる上海摩天楼を左舷に眺めつつ長江本流へ向けて勇躍下だっていったのである。 朝の5時とはいえ、周辺をジャンクあるいは用途不明の赤サビ小型鋼船が、駆け抜けていく。何と忙しいことだろう。 我が愛艇「ベラ」は上海1千万人の糞尿を飲み込んだ長江支流の水を押し分け、かき分け頼もしく奔る。 突如、「うおお!!」3等航海士の藤井が右舷前方を指差した。「よよっ!!」 あれはまさしく中国海軍北洋艦隊ではないのか。艦隊全体が真っ赤だ。(サビ!) 「カメラを隠せっ!」「艇長っ!見るのは構わないのでありますかっ!!」「そぎゃんこたわからん。」総員頭は前方に向け目玉だけを回して見るに、潜水艦も居る。何と先の大戦の生き残りではないか。イ号潜水艦やUボートにソックリだ。 次号乞うご期待!! 広島県 深安郡 吉永 隆 JG4OHG

 

海・千夜一話物語 第259話               《ミンスク解体されず》

JSDF各局。こん**は。いかがおすごしでしょうか。 「ミンスク」って言ったら、旧ソビエト連邦の主力戦闘艦です。 マラッカ海峡を通過したときから、日本のメディアが追い回し、戦争が起こるぐらいの報道合戦でしたよ。 どっかのTV局なんか、ベトナムのカムラン湾に停泊する「ミンスク」を隠し撮りしたりしてたのを覚えています。 「ミンスク」は、東シナ海を北上し、対馬海峡を通過して、ウラジオストックを母港としてしまったのです。 ついに極東にアメリカ海軍の「ミッドウェイ」とソビエト連邦の「ミンスク」の 2隻の空母がいることになりました。 もう完全な冷戦状態でした。 その「ミンスク」ですが、行動しないでウラジオストックにつながれたままに されていましたが、ついに韓国にスクラップに出されたのです。 まあ、スクラップ販売先が中国でなかったのはよかったです。 ところが、この老兵「スクラップ・ミンスク」をなんとホテルにしたいと 韓国の業者が、ロシアに許可申請してんだそうです。 時代は変わるものですね。 引用、転載、可 遠慮無く御応答下さい  /=====] /================================================/ O ] / ロロ ‖ De JH4BYT @ JM4WJT 35.JNET4.Jpn.AS ‖ /------/ <_______‖ Op.Hashimoto.FukuyamaCity.Hiroshima ‖----/======/ GO GO O OO internet mail address jh4byt@mxy.meshnet.or.jp

 

海・千夜一話物語 第260話 「三色燃料」  

「石川さん、油量ゲージの針が下がっているみたいだから、燃料を補給しと きましょうか。」  初夏を告げる仙酔島の花火が終わって、ゲストの差し入れのご馳走の残り物 を賞味しながら、酒と花火の余韻に酔いしれていた。  クルーがデッキからキャビンへ持ち帰ったポリ容器の色を見て不安になった。  燃料の容器は色着きの容器で、白色は飲料の水の筈だった。  急いでキャップをはずして、臭いを嗅いでみた。  無い!ない!ナイ!臭わない!  "臭わないのが新しい。タンスにゴン。"では無いのだぞだぞ。  一滴嘗めてみた。  「こりゃー水じゃー!!」思わずスットンキョーな声を上げた。  「どのくらい補給したんか。」と聞くと「ポリタン一缶全部入れました。」  「このー・・・・!!」  怒り心頭に発して、心の中では拳を振り上げたが下ろす訳にはいかない。  返す言葉で言ってやった。  「ご苦労さん。そいつは水だよ。ついでに燃料タンクを空にしてくれ。」 抜き出した燃料の色を見て、再び驚いた。 沈澱した燃料が三色三層に分離していた。 ディーゼルエンジンだから軽油は当たり前だし、今、間違って入れたのだか ら、最下層に水がある事も理解は出来る。ところがどっこい、一番上の層は、 どうやらガソリン臭いなのだ。  われわれのコナ・ウィンド号の燃料は、停泊中は三色(お冷や、日本酒、赤 ワイン)で、揺れていると混じりあってロゼ・ワインの様な色になる。おかげ で走り始めるとノッキングを起こす。  "止まりゃチャンポン  動けばロゼよ  走る姿は千鳥足" <<< ここは瀬戸内ど真ん中・坂本龍馬のいろは丸記念館のある鞆の浦 >>> <<< 凾c  De JA4QEY @ JM4WJT. 35. JNET4. JPN.AS >>> <<< ■■ QTH:Fukuyama-city Hiroshima-pref. QRA:M.ISHIKAWA >>>

 

海・千夜一話物語 第261話                「四国クルーズ」 その8  縄稚君は、寝てる。航路を走っているので、ちょっとだけ目をつむらせて って訳にはいかない。目覚まし時計でもセットすれば別だけど。  日差しは少し弱くなって、上着を着ていないと寒い。  ラジオを聞きながら、のーんびりと過ごす。  1700すぎ、縄稚君が起きてくる。するとすぐに魚がかかった。  急いでラインを手繰ると、適度な手応え。重くはないが、そこそこの質量 を感じる。きっと、鰹だ!  どんどん、手繰って獲物が見えてきた。やはり、鰹だ!やったネ!  前半の苦労が嘘の様だ。予定通り穏やかな水平線を見て、鰹を釣った。  ぼんやりと室戸岬が見えてきた。室戸沖の航路ブイも見えてきた。  暗くなる前に食事をしないと、どんなに美味しい物も見えないとぜんぜん 美味しくないので、夕食にするか?っと縄稚君に尋ねるが、寝起きで食欲が ないという。私も、そんなに食欲が湧かないので、もう少し後にする。  室戸岬を大きくまわる。心配していた急激な天候の崩れはなく、一安心。  かぜは、北北東から北北西になり、ちょっとは船のスピードに貢献する位 に上がった。  1830 夕食の準備にかかる。さっき釣った鰹を食べようかとも思った が、そうじだけして、クーラーに入れておいた。しっかりと冷やしてしめて 明日食べようということにした。  今夜のメニューは、カレーライスとイタリアンハンバーグ、スープ。  (聞こえはいいけど、全部レトルトです)  御飯を炊いていたら、なんとガス欠。あわてて、ロッカーから、カセット コンロを出して、鍋を載せ変える。  しかし、ジンバルの上においてもトップヘビーでひっくり返りそうなので 手で支えていなくてはならない、その間に本船が近づいて来て、縄稚君は、 相手のヘディングが解らず悩んでいる。舷灯、マスト灯について説明する。  本船が前を横切り、お湯を一杯張った鍋をこぼさないように、必死だ。  やっと御飯が炊き上がり、レトルト食品も温まって、夕食。  風は更に西に振れ、アビームからクオーターリー。1Pメイン、ストーム の機帆走で5ノット。  快調だ。快調すぎる。静かに月灯りの下で夕食を食べようとエンジンを切 る。この航海中最初で最後の純粋帆走。  出航の時と比べると、かなり満月に近づき、今夜は、0200すぎ位まで は明るそうだ。  明るい月夜とはいえ、カレーのかかった部分とかかってない御飯の部分が やっと判別できる程度。  味は、良くわからないが、腹一杯食べた。まんぞく、まんぞく。  ラジオから流れる音楽とオートパイロットの音しかしない。離れた所を本 船が静かに通り過ぎて行き、かすかにディーゼルの排気臭が漂ってくる。  風が少し上がってきて、完全に後にまわった。潮に乗って5〜6ノットも 出ている。このままでは、0400には蒲生田岬に着いてしまう。  椿泊にも入りたいが、昨夜から風邪の状態が少しずつ悪くなっているので 徳島まで行ってゆっくりしてもいいな。  それに中野さんに聞いた話では、蒲生田から阿南辺では、最近はほとんど 毎日北風で波が良くないと聞いているが、明日はまだ高気圧に覆われている ので楽に行けるだろう。椿泊に入って明後日徳島へ向かう時は北風にもどる 可能性が高そう。  よし徳島、目指そう!  この静かな夜の雰囲気をうまく伝えられないのが、はがゆい。                     小林正幸 (CASSIOPEIA5 CREW) de JK4WOY@JR4ZSE.35.JNET4.JPN.AS e-mail coba-woy@fuchu.or.jp

 

海・千夜一話物語 第262話                 「四国クルーズ」 その9

 夜も更けてきて、少し眠くなってきた。私の勝手な予定では、そろそろ縄稚君 も慣れてきたし、任せて少しくらいは寝れるかなって思っていたけど、 「寝ちゃ、ダメ」って言うので、カフェインがコーヒーの何十倍だか、何百倍入 った"眠れない薬"を飲む。不味いんだなこれが!  甲浦の灯台、海南、大島、日和佐と見える。本船は、岸寄りをはしっている。  11月21日 0200頃  蒲生田、伊島の灯が見えてきた。それらより、右手にもう一つ光っている。  日ノ御崎かな?チャートの灯種とはちょっと違うようだ。遠くで明るく光って いるようにも見えるし、その辺にある網の目印ブイの様にも見える。?????  まあ、行けばわかるさ。  伊島を左に見て紀伊水道に入るつもりだ。  伊島に近づくにつれ、だんだん波が高くなる。黒潮と風による東流と紀伊水道 を流れる潮が浅いところでぶつかっている。  波を駆け降りた所で、前方から波が来てかなりヒールする。オートパイロット も苦しそうに鳴くので、代ってやる。波でスピードが落ちたので、エンジン始動。  頻繁に位置を出すが、余り進んでいない。以前、ここを通った時見た暗礁が怖 いので、随分沖を通っているつもりだけど、何だか不安。  さっきから、縄稚君は、ずっとキャビンの中に居て、GPSとチャートとにら めっこ。始めの頃の時化で、すっかり慣れたのか、平気な顔でにらめっこしてる。  伊島の東側には、漁船が沢山出ている。下げ潮なのか全然進まない。  伊島をかわし、進路を北に向けると益々進まなくなった。  早く、夜が明けないかな。疲れがピークに達してきた。  正体不明だった灯りはやはり日ノ御崎だったようだ。  しかし、なかなか伊島と日ノ御崎の見通しを越えない。うーっ、辛い。眠い。  前を見ているんだけど、見ていない。意識が見ている闇の中に吸込まれてるよ うだ。できるだけ、色々な物を見てボーッとしないようにする。  伊島と日ノ御崎の見通しを越えると、だんだん波が収ってきた。  あーっ、やっと越えたな。東の空が白んでくる。今日もいい天気になりそう。  風は、弱い北風に変ったと思っていたが、北上するにしたがって、風は再び西 寄りに..... ジブは役に立たないので降ろす。  0600すぎ、太陽が昇ってくる。眠気も収り、元気が出てくる。  縄稚君は、疲れて眠くなってきた様子。キャビンで横になるように勧める。  オレも寝たいなぁ。でも、今は元気、元気。  風が、更に西に振れて、セールが役に立ちそうなので、降ろしてたストームジ ブを揚げ、メインをフルホイスト。徳島まで20マイル弱。  0700   ふと、縄稚君の電話が使えるかと、スイッチを入れると、いけるじゃない。  家に電話しようと、ダイヤルしたら、途端にバッテリー切れ。あれ、まあ。  HFの無線機のスイッチを入れ、シーガルネットのワッチ開始。  縄稚君うるさくてたまらず起きてくる。  シーガルネットにチェックイン。その後、ホロホロの溝田さん、サポートの 美馬さん、出社途中の河野さん、中野さんと喋る。  無線をしている間は、スロットルを少し絞っていた。かなり長い間話してい たので、さっき無線で連絡した。到着時刻より少し遅れそう。  海は、鯨の背中みたいに穏やか。思い思いに網を曳いている漁船がモヤに少 しかすんでる。  再び風がなくなった。ストームジブも乾いたので、畳んでロッカーにしまう。  もう、急がなくてもいい。1100位にはケンチョピアに入れそうだ。  新町川に入る少し前から、美馬さん、中野さんと今度は、430のレピータ ーで、喋る。  美馬さんが何か必要な物はないかと聞いて下さる。ロングクルージングとい える程の物ではないのだけど、「何か必要な物は...」っと聞いて下さった 事がすごく嬉しかった。  昨日、ガスがなくなったので、ガスを充填してしてくれる所を調べて欲しい っとお願いする。  その後、阿波クルージングクラブの三谷さんともQSO。  三谷さんにお知えてもらったクラブハウスを確認して、更に奥へ入る。  このクルージングに出る前にじゅんよう2の河野さんに横に留めさせて下さ いと頼んでおいた。今朝、交信した時の話では、空いているのでどうぞとの事。  縄稚君に、「じゅんよう2を探して見ろ、他の船と全然違うからすぐわかるよ」 と言って探させるが、デッドスローでバウを向けるまで気が付かなかった。  2度目で勝手知ったる何とやら。何なく、係留。船が短いので、ラインがキン キンに張っているが....  土佐清水を出て約30時間。随分快調だった。あー眠い。                     小林正幸 (CASSIOPEIA5 CREW) de JK4WOY@JR4ZSE.35.JNET4.JPN.AS e-mail coba-woy@fuchu.or.jp

 

海・千夜一話物語 第263話                 「四国クルーズ」 その10  

船の片付けをしていると、ホロホロサポートの美馬さん、阿波クルージング クラブの三谷さんが来艇。  差し入れを頂くやら、私が風邪ぎみだと言っていたので風邪薬を持ってきて 下さり、おまけにお昼御飯にラーメンの出前まで取って下さった。  コックピットで昼食。今日は、ポカポカと暖かい。  初めて会うのにとても暖かくしてもらって、すごく嬉しい。  けど、何のお返しもできないのがちょっと辛い。  美馬さんにPLガスの充填をお願いし、縄稚君は、携帯電話の充電とクラブ ハウスの下見に。みんなを送って、少し片付けをして河野さんに電話をかけに 行こうとしたら、河野さんの奥さんが、うちの電話を使って下さい、洗濯物が あったらどうぞ。と、わざわざ言いに来てくださる。  電話を借りるのは、気が引けるので公衆電話で、河野さんに電話をかける。  受付の女性に先物取り引きと勘違いされて、電話を切られてはいけないので "ヨットでお世話になってる...."と告げる。  電話の保留音が阿波踊りの音楽だったのには、ニンマリしてしまった。  河野さんとの電話は、思ったより長引き、テレホンカードも小銭もなくなり、 結局、河野さんのお宅へ電話を借りに行く。  河野さんから、矢部さんに電話するように聞き、矢部さんに電話すると、もう 徳島入港を知っている。「さっき、中野さんのメールが流れてきたよ」だって。  恐るべし、パケットネットワーク。  1500頃、船に戻る。  銭湯が1600からだから、1時間ほど寝ようとバースに潜ったとたん、レピ ーターから中野さんが呼んでくる。  手が空いたので、ちょっと遊びにくるそうだ。(ううっ、寝たい)  中野さんと再会。差し入れのビールで乾杯。今日、明日の予定を練り、 今夜また会いましょうと別れる。  今度は、美馬さんがPLガスを届けて下さる。(お手数掛けました)  銭湯へ行き、帰りにはフラフラと、かちどき橋の辺りを回って船に戻る。  クーラーボックスの中はまだ少し冷んやりしているけど、カツオのタタキを作 るのに必要な氷水が作れないので、縄稚君に買ってきてもらう。  ついでに元気が出るドリンク、テレホンカードもお願いする。縄稚君は、三谷 さんに借りた自転車に乗って出かける。  レピーターでは、中野さんたちがここへ来る相談をしている。  早く、御飯を食べておかなくては。  御飯を炊きながら、鰹をおろし、皮を剥ぎ、網に載せて強火で焼目を付け、氷 水の中へチャポン。切ってみると、火の通り具合もグー。玉葱、ニンニクをスラ イスし、カツオの上に載せ、ポン酢をかけて出来上がり。  続いて、酢豚。半レトルトなので、玉葱などを炒め、真空パックの野菜、肉を 加え、アンをかければ出来上がり。  お好みのスープ、味噌汁に湯を注ぎ、夕飯の出来上がり。  今回のクルージング中作った食事の中では一番美味しかった。  中野さん、橋本さん、KLZさん(LSFさん?鳴門キントキを頂きました) 少し遅れて河野さん(チクワを頂きました)。何だか、貰ってばかりです。  河野さん、来てみると社員(橋本君)がいるのでビックリ!!  パケットの話が多く、縄稚君はボーッとしてるが私は、楽しい。  2400位までワイワイやって。明日、会いましょうと別れる。  寝る前、家に電話をしていない事を思い出し、電話する。  2日も連絡がないので、明日の朝、石川さんに連絡して捜索願いを出そうと思 っていたそうだ。(機嫌の悪い事、悪い事)  確かに今夜の連絡は遅いが、昨日は家に置いてきた航海計画通り、オーバーナ イトじゃないかと言うと、アラ、そうねぇー。だって。(テメェーよく見ろよ)  外は寒いので念入りに寝床を作り、42時間ぶりに寝る。  目をつむったと思ったら、外から誰か呼んでる。  「おーい、起きてるかー?」  目を明けると外が明るい。時計を見ると0730  車を借りるので、河野さんと一緒に出かける約束だった!  縄稚君を起こし、ズボンだけ履き替え外へ飛出す!今日も忙しいゾ!                       小林正幸 (CASSIOPEIA5 CREW) de JK4WOY@JR4ZSE.35.JNET4.JPN.AS E-mail coba-woy@fuchu.or.jp

 

海・千夜一話物語 第264話 航海記 上海帰りのベラ 其の、2

私、今流行りのリストラの渦中にあり、寄稿がストップしておりましたが、し ばし落ち着きましたので、再び報告させていただきます。 さて、多少のゴタゴタはあったものの無事出航した我々4名+水先案内人は、 朝モヤにけむる上海摩天楼を左舷に眺めつつ長江本流へ向けて勇躍下だっていっ たのである。 朝の5時とはいえ、周辺をジャンクあるいは用途不明の赤サビ小型鋼船が、駆 け抜けていく。何と忙しいことだろう。 我が愛艇「ベラ」は上海1千万人の糞尿を飲み込んだ長江支流の水を押し分け、 かき分け頼もしく奔る。 突如、「うおお!!」3等航海士の藤井が右舷前方を指差した。「よよっ!!」 あれはまさしく中国海軍北洋艦隊ではないのか。艦隊全体が真っ赤だ。(サビ!) 「カメラを隠せっ!」「艇長っ!見るのは構わないのでありますかっ!!」「そぎ ゃんこたわからん。」総員頭は前方に向け目玉だけを回して見るに、潜水艦も居る 。何と先の大戦の生き残りではないか。イ号潜水艦やUボートにソックリだ。 次号乞うご期待!! 広島県 深安郡 吉永 隆 JG4OHG

 

海・千夜一話物語 第265話             「上海帰りの「べら」 航海記」 

その3 長江へ合流する前に、朝飯を食うことにした。メニューはカレーライス、いや そんなに上品な代物ではない。ライスカレーだ。水先案内人の張さんも、うまい うまいとみな食った。 中国の水先案内人は、我々から見ると軍人と同じ服装をしている。もっとも爪 襟のフックと第一ボタンを外しているので、厳めしいという雰囲気は微塵も無い。 此の張さんが原因で、9時間後に大事件が起こる事など知る由もなく、4千年 の歴史と12億の半分の民の糞尿を溶かし込んだ長江へと、愛艇「ベラ」は静か に合流していった。 広島県 深安郡 吉永 隆 JG4OHG

 

海・千夜一話物語 第266話 上海帰りの「ベラ」 航海記 其の、4

長江の水の色は灰色っぽい黄土色である。日本では見る事の出来ない色。私は 此の色に、中国という国の歴史を見たような気がした。 上海を発つ前の日、同市の博物館を見学して同じような感動を覚えた。紀元前 3千年の昔に製作された、青銅の壷を見た時である。 文字が刻まれている・・・。象形文字に近い・・・。 今から5千年の昔である・・・。 私は其の青銅の壷の前に、いつまでも いつ までも たたずんだ。 広島県 深安郡 吉永 隆 JG4OHG

 

 

海・千夜一話物語 第267話                「四国クルーズ」 その11  

反対車線の徳島市内へ向かう渋滞を横目に河野さんの会社へ向かう。  AOミュージアムのクラシックカー(ベンツね)を見学。5、6台ある車の 中から好きなのに乗って行って下さい。と言われてワゴンより、小回りの効き そうなパジェロを借りる事にする。  河野さんに予定を聞かれて、土柱(詳しい説明は、省きますがミニグランド キャニオンみたいな所で、山が大根の様な形状に浸食されている所)へ行って 鳴門の方へ行き、椿泊まで行って来ますと言うと。  土柱と映画の撮影をしている脇町へは連れて行ってあげようと、一緒に行っ てもらう。  その昔、多くの船が行き交った吉野川。あちこちにその名残があり、河野さ んのガイドでフムフム、ヘエー。縄稚君と二人だったらそうはいかなかった。  脇町では、寅さんシリーズにつづく映画の撮影をしてる映画館や江戸時代の 町並みを見学。  ちょっと、京都の祇園町風で昔の繁栄を感じさせる。  河野さんには、職務に戻って頂き、鳴門へと向かう。  いきなり、曲るところを大幅に行過ぎてUターン。やっと我が道を見つけ、 鳴門を目指す。途中、四国八十八ケ所巡りの2番目を発見。ちょっと寄ってみ る。河野さんに借りたデジタルカメラで縄稚君を撮影。何故か私を撮ってやろ うとは言わない。縄稚君は、何か熱心に拝んでた。  ここのウドン屋で明日は、高松でウドンスキなのに...と思いつつ、朝兼 昼ごはんを食べる。  河野さんが前船を置いていたベラビスタマリーナへ寄り、小鳴門(狭い!)、 大鳴門と順調にまわり、前から興味のあった椿泊へと向かう。  レピーターで中野さんと連絡を取りながら合流。椿泊は、すごく道が狭いと いうことなので、中野さんの車に載せて行ってもらう。  本当に狭い道を延々進み、やっと先端に辿りつく。  入り江が開けた先には伊島が見え、かなり風が吹いているようだ。椿泊に入 らず徳島に入って良かったと実感。なかなかイイ感じの所で今度はぜひ船で!  中野さんと別れ、急いで船に戻り、走って銭湯へ行き、走って車の所へ行き、 フェリー乗り場へ伊東さんを迎えにいく。  私たちが来ると聞いてわざわざ大阪から来て下さった。  私のパケットデビュー第一声は"ヨット界のパケット伝導士知りませんか?" だったのですが、なかなかメールが届かなかったりして最近やっと連絡できるよ うになった。探し求めて1年。やっと伊東さんに会える。  フェリー乗り場に着き、よそのおじさんに1度間違えて声を掛けてしまった が、向こうから歩いてくる日に焼けた優しそうな人を発見。 "やっと、会えましたね!"  阿波クルージングクラブのクラブハウスへ行くと、美馬さんが準備をされて いる。だんだんと、いろんな人達が集ってくる。(殆ど、パケット関係ね)  MOでコールだけ知っていた人と会ったり、途中から参加された阿波クルー ジングクラブの皆さんとの楽しい時間はあっと言う間に過ぎ、宴はお開きに。  船に戻って暫くして三谷さんが氷を持って来て下さる。かゆい所に手が届く と言うのでしょうか、有難うございました。  さあ、明日は0430出航。0800鳴門通過!高松へGO。                     小林正幸 (CASSIOPEIA5 CREW) de JK4WOY@JR4ZSE.35.JNET4.JPN.AS E-mail coba-woy@fuchu.or.jp

 

海・千夜一話物語 第268話                「四国クルーズ」 その12

11月23日 0400起床  今日の0800鳴門海峡は、北流から南流に変る。  「もし、鳴門を朝の潮止まりで越えられなかったら、今日高松に着けんなぁ」 と、威されていたので、万が一にも潮止まりに遅れる訳にはいかない。  早目に出てスピードを調節しながら北上。沖出しするにつれ、北西の風が少し 上がって、時折スプレーを浴びる。  「早く、明るくならないかなー。」徳島で2日間もぬるま湯に浸からせてもら ったせいで、寒さが堪える。  日が昇って風は収り、バッチリ潮止まりに通過できるペースで進んでいる。  鳴門大橋を目の前にシーガルネットにチェックイン。  ジャストタイムで通過したせいか、今までにこんなに波のない鳴門を通った事 がない。通過前、縄稚君に「鳴門はなぁー...」て言ってたのが完全に外れ!  鳴門を越えると風は、北東になりメインアップ。今朝は、縄稚君が朝食を作っ てくれる。(ベーコンエッグ、トースト、コーヒー)  まだ鳴門から余り離れていないので、本船が前後からやってきて、小さなカシ オペアを揺らしてくれるので、皿を押えているのが大変。  ジェノアも揚げるが風が弱いので機帆走、5ノット+アルファー。  相変わらず、携帯電話が使えないので、小豆島のレピーターで高松各局と連絡 が取れないものかと、呼んでみるが応答なし。  天気がいい。デッキが汚れているのでデッキ掃除してみたり。  携帯電話が時々圏内に入りだしたと思ったら、電話が鳴る。  オーナーの松本さんからだ。途中から連絡が途絶えていたので、心配して電話 してきたようだった。ちゃんと生きて帰ってますからと電話が切れそうなので、 手短に話した。松本さんは、九州へ気球を見に行っているらしい。  なんの緊張感もなくダラダラと走り、そろそろ島の間を通って高松へアプロー チというところで、電話が鳴る「もしもし....プー、プー」 暫くしてまた鳴り、「もしもし」「もしもし」「あっ、矢部さん、いま..」 プー、プー。今度は、こっちから掛けてみる。また切れる。2言、3言づつ喋っ りながらやっと無線の周波数を決め、やっとまともに話ができる。  YUMEがこっちにお出迎えに来てくれているらしい。  高松各局の連絡周波数をワッチしていると、皆さんやってるやってる。  本日の打合せやら何やら。突然、WOYを呼ぶ声が..コールが取れなかった がOOH平井さんだ!  「うちの沖を通るのなら乗せて行って!!」ハイ、ハイ!と指示された漁港に 入り、何なくと言いたいところだが、漁港内であさっての方向へ行ってしまった りしながら、やっと平井さんをみつけ、港を出る。  港を出ると、YUMEが沖に浮んでいる。近寄って行くと、長川さんがメガホ ンで「お疲れ様!」と声を掛けて下さる。  さあ、後はYUMEに付いて高松へ。  ハーバーへ入ると、矢部さんとJYSパパが待っていてくれる。  着くなり、「猿岩石..」と矢部さん。???  俺たちゃ、ヒコーキにも貨物船にも乗ってないゾー。  係船、片付けに少々時間がかかり、早く銭湯に行ってこないと、うどんすきパ ーティに遅れてしまう。急いで、長川さんと3人でいつもの銭湯へ。  今回も駐車場が空いてなくて交代で風呂に入る。  陸に上がると忙しいこと忙しいこと。  帰ってみると、真理子姉さん、河野さんも来ている。真理子姉さんには、やっとお目通りが叶いました。  タクシーに分乗して盛り場へと。  「ここだぁー!」とOOHさんに導かれ、うどん屋さんへはいると、みんないるいる。「御無沙汰してまーす。生きてここまで帰って来ました」  2時間位居たのでしょうか、楽しい時間はあっと言う間に過ぎてしまう。  ナイショでILNさんが持込んだお餅を食べ損ねたのがちょっと心残り。  うどんすきの後は、お汁粉だ、ぜんざいだ、ラーメンだと夜の町を徘徊するが、 行く店行く店閉ってる。やっと、みつけた店でぜんざいを食べ、船に帰って、矢部さん、河野さん、長川さん、私たち2の5人で二次会。  船乗りは、ラムだ!と矢部さんの挑発に乗ってラムを飲むが、"かーっ!効くっ"  YUMEの中には、一回り大きなベースを付けた普通の石油ストーブが置いてあった。(いいなぁ、大きい船は)もう、中は極楽である。  「今夜は、ここに寝たらいいよ」との長川さんの言葉に甘えてYUMEで熟睡。                     小林正幸 (CASSIOPEIA5 CREW) de JK4WOY@JR4ZSE.35.JNET4.JPN.AS E-mail coba-woy@fuchu.or.jp

 

海・千夜一話物語 第269話                 「四国クルーズ」 その13

 11月24日 0600起床。  朝食も長川さんに御馳走になる。(with 奥さんの目を盗んでやって来たOOHさん) "100里の道も99里を以て半ばとす"、長川さんの言葉を心に刻み、0700すぎ、OOHさんから頂いたおにぎりを持って出航。  あっという間の8日間だった。さあ、もう少し、気を引き締めて。  シーガルネットにチェックイン。  ホロホロの溝田さんが、「早いなぁー、もう、一周したんかいな」  「そうですよ!フツーのサラリーマンですから」 「僕も早く、溝田さんみたいにゆっくりクルージングに出たいよ!」  小鎚島の手前辺りまで来た頃、YUMEが急接近!!  メガホンで何か叫んでいる。手には、昨夜HYLさんがくれたクッキーが。  巡航速度を越えて、わざわざ追いかけて下さって有難うございました!!  YUMEは左へカシオペアは右へ。左に行った長川さんは、その後ちょっとしたアクシデントがあったとか..... 備讃瀬戸を横切り、与島を左に見て、水島航路を北上し、一路西へ。  石川さんたちが参加しているレースの群を霞の中に発見。近寄っていると、遅くなるので、真っ直ぐ白石の瀬戸を目指す。  白石を過ぎて、遅い昼ごはんを。  スパゲッティを茹で、一度、食べてみたかったイカ墨ソースで食べる。  食後は、お互いの顔を見たり、自分で鏡を見たりして大笑い!  (口の回りや、歯が黒くて、変なカオ!)  マリーナへ帰って、マリーナの女の子に笑われてはいけないので、2人で歯磨き。  1530 出航届けに書いた帰着時間より30分遅れで、ホームポートに帰って来た。  船を舫うと暑いくらいの日和だった。  帰着申告に行くと、受付の女の子、別人かと思われ(黒くて汚いので)、「よく、あんな小さな船で行って来ましたね」と感心された。  パケット各局、係わりのあった全ての皆さん、本当にありがとうございました!!  また、お邪魔しまーす!                     小林正幸 (CASSIOPEIA5 CREW) de JK4WOY@JR4ZSE.35.JNET4.JPN.AS E-mail coba-woy@fuchu.or.jp

 

海・千夜一話物語 第270話 「ボルテ・チノ物語」  

阿波守隻腕殿 宣わく CLB>「ボルテチノ号の名前の意味が解るのは・・・・・」 CLB>《渦》と思っていたのですが、銀色狼? 五木寛之の著書に「青年は荒野をめざす」と言う作品があった。 妙に気になる題名であった。 それは何であるのかは解らないが、何か突拍子も無いことをやってみたいと 心の中で漠然と考えていた、否うつうつ、もやもやとした物がくすぶり続けて いた青年期があった。 ある時、「太平洋ひとりぼっち」事件というのがあった。  当時堀江謙一さんは、ノーパスポート、ノービザで太平洋を横断した。この 事はアメリカでは快挙だが日本では不法出国のまさに事件であった。 アメリカでの解釈はこうである。「パスポートもビザも単なる手続きに過ぎ ない。」19フィートのちっぽけなヨットで太平洋を横断してきた事は事実で あり、快挙であることには異議を挟まない。 このニュースを耳にして、うつうつ、もやもやの青年(私)は、目から鱗が 落ちた。 ジンギスカンが馬を疾駆して、モンゴルの大平原を縦横無尽に走ったのにあ やかり、大海原を自由奔放に走って見たいとの願いを込めて、ジンギスカン物 語の中からヨットの名前としてとったのが、ボルテ・チノ(蒼い狼)である。 ボルテ・チノ:蒼い狼 である。 井上靖の「蒼き狼物語(?)」の中にも登場するが、角川文庫ルネ・グルッ セ著「ジンギス汗−世界の征服者−」の中に次のようなくだりがある。 「蒼い狼(蒼い狼)と森の雌鹿は、この運命に選ばれたような土地を背景に、 愛で結ばれた。 そこに生まれた子のバタチカンが、いずれはジンギス汗を生み出す家の始祖と なった。」 <<< ここは瀬戸内ど真ん中・坂本龍馬のいろは丸記念館のある鞆の浦 >>> <<< 凾c  De JA4QEY @ JM4WJT. 35. JNET4. JPN.AS >>> <<< ■■ QTH:Fukuyama-city Hiroshima-pref. QRA:M.ISHIKAWA >>>

 

海・千夜一話物語 第271話            「'97 明けましておめでとう」

全国ヨットフォーラムの皆さん、明けましてお目出度う御座います。  パケットのおかげで昨年は、楽しく有意義な一年になりました。  今年もよろしく、おつきあいの程をお願いいたします。  "正月や 冥土の旅の 一里塚 めでたくもあり めでたくもなし" 芭蕉    齢を重ねる事を、幼少のころは、「成長」と言い、長ずるに及べばこれを「老化」と言う。  パケット各局、今年も大いに「成長」しましょう。 「パケットは 人の 為ならず。」   大いに読みましょう。 書きましょう。会 いましょう。 <<< ここは瀬戸内ど真ん中・坂本龍馬のいろは丸記念館のある鞆の浦 >>> <<< 凾c  De JA4QEY @ JM4WJT. 35. JNET4. JPN.AS >>> <<< ■■ QTH:Fukuyama-city Hiroshima-pref. QRA:M.ISHIKAWA >>>

 

海・千夜一話物語 第272話 「初詣は天神様」  

例年初詣は金比羅詣でを欠かした事が無いわが家も、受験生をあと一人抱え ているので、今年は学問の神様として知られている天神様に願掛けに行く事に した。 日本三大「天満宮」と言えば、九州福岡の「太宰府天満宮」、京都は「北野 天満宮」とこの山口県防府市の「防府天満宮」であるが、ここは日本最古の天 満宮だそうだ。延喜4年(平安時代)の創建だと言われる。 稲荷さんや金比羅さんは、沿道の駐車場が、商魂逞しく有料である。金比羅 さんなどは、小学校の校庭までが有料の駐車場に早変わりして、一般業者と同 じ金額を徴収している。 この度、防府天満宮へのお参りは初めてでした。高速道路の料金所で貰った 案内図の中から選んだ駐車場は、佐波中学校の校庭である。 それなりの覚悟と心の準備をして、係員の青年に聞いてみた。  「ここの駐車料金はいくらかね。」 「無料です」 天神様を拝む前に、思わずこの青年に手を合わせていた。 本堂から西方に裏参道が伸びている。ここの南西角に「春風楼」なる、たた み百畳ほどの広さの望楼がある。 ヨットをやっていると、気になる「春」であり「風」である。 この春風楼は、元々は毛利某(なにがし)かによってここに建てようとして、 中止のやむなきに至った五重の塔の基礎組を利用して建てられた物である。 どうやら、当時はかなり近くに穏やかな瀬戸の海を眺め、心を和ませたよう だが、今では波打つ屋根屋根屋根であり、屹立するビルビルビルである。 そこで、今年最初の珍句。  "見渡せば 甍(イラカ)の波や 春風楼" 石川泥舟(コンクリート・ヨット) <<< ここは瀬戸内ど真ん中・坂本龍馬のいろは丸記念館のある鞆の浦 >>> <<< 凾c  De JA4QEY @ JM4WJT. 35. JNET4. JPN.AS >>> <<< ■■ QTH:Fukuyama-city Hiroshima-pref. QRA:M.ISHIKAWA >>>

 

海・千夜一話物語 第273話 航海記 上海帰りの「ベラ」 その5

長江へ合流した。本船やジャンクが上流へ下流へと行き交いしている。狭い島国からやって来た我々は、同じように対岸に目を凝らした。見える様でもあり、 見えない様でもある。遠く霞んで何やら見えるのが其れらしい。「大きいのお! 海みたゃーなのお。」「ほおじゃのお、ほおじゃのお。」 合流すると以外に風波がつよく、全員オイルスキンを身にまとった。張さんに着るかと尋ねたが、(ボディラングウェジ!!) いらないと言う。 (ボディラングウェジ!!) 船体の横腹に「PIROT」とペイントした、白い本船が通過する度に張さんは、ハンディトランシーバーで何やら連絡している。どうやらヨットというまだ中国では珍しい舟に乗っている自分を僚船にアピールしている様だ。 突然、張さんは帆走するように我々に命じた。(命じた様に思えた。なにせボディラングウェジなのだ!!)  「張さん、それは困る。おたくの国で調達したホレこのチャート見てくれ。水深の記入が無い、浮標の表記も出鱈目、おまけにもろ向かい風、ヨットは風に向かっては走れない。 この舟こんなに小さくとも喫水線から下は1.8Mアルヨ。座礁してもアナタ責任ナイアル。船長ノ私ガ責任トラサレルアル。コマルアル。ホントウニコマルアルノコトヨ・・・。」 (以上 ボディラングウェジ・・!!) 広島県 深安郡 吉永 隆 JG4OHG

 

海・千夜一話物語 第274話 上海帰りの「ベラ」 航海記 其の、6

「帆で走れ!」張さんにそう命令(?)されると、我々は制服とお上にめっぽう弱い日本人の悲しい性をもろに露呈してしまった。彼に命令されるまま、アタフタとメイン、ジブをつぎつぎに揚げ、船首を左舷45度に回して横目で張さんの様子をうかがった。 帆走に移った「ベラ」に彼は甚だ満足したようである。行き交うパイロット船やジャンクに向かって、こぼれんばかりの笑顔で手を振ったり、トランシーバでアピールしている。(ように見えた。)   私はチャートを張さんに見せながら、進行方向の確認を得ようとするも「ダイジョブ、ダイジョブ。」で甚だ心許ない。 長江本流に入って風波も一段と強まった中でのクロースホールドである。いきなり大きなスプレーを一発食らった。我々はオイルスキンを着ていたから、長江の水の味見をさせて頂いただけであるが、張さんはまともに引き受けてしまった。 「張さん、やっぱりオイルスキンを着ましょうョ。」 (ボディラングェジ!) 「ダイジョブ、ダイジョブ。」           (ボディラングェジ!) 広島県 深安郡 吉永 隆 JG4OHG

 

 

海・千夜一話物語 第275話 「湯布院、混浴、のぼせの湯」  

YUMEさん、初春航海・別府路の旅はご苦労様でした。もっとも、体験さ れたおいしい話満載の「夢航海記」を読んでいると、些事に惑わされて、ずー と地元を暖めていた自分達に「ご苦労様」と逆指名されそうです。  さて、地ビールと自家製ハム、ソーセージのおいしい話はグッと腹の中に納 めて、我々の余り関心の無い、混浴の詳細は如何に? このジャンルは矢部さんかな?  私にとっては、湯布院は、特に温泉に関しては、「素通りの街」になってし まいました。   最大のチャンスでした昨年の秋は、熊本の高木裕さんとのアイボールの後、 阿蘇山経由で駒を進めたのは良いが、別府道全線開通に伴い訪問客が殺到して、 湯布院は歳末のデパートの様相を呈しているとの情報を得て、立ち寄る事を断 念しました。 湯布院岳の麓から立ち昇る湯煙を、横目、遠目、やぶにらみに見てスタコラ サッサと帰路につくあの悔しさを、どうゆう方法ではらすか思案中である。  そういえば、湯布院と言えば、若かりし頃のSLとの思い出がある。  日本でも、SL(蒸気機関車)の活躍した時代があった。やがて電化されあ るいはディーゼル化されて、SLが次々と廃止されていった。  そのころ週刊誌に、現存するSLの絶好の撮影ポイントとしてここ久大本線 の湯布院の名が上がっていた。 ここの、あるポイントから西にカメラを向けると、急勾配の峠をもうもうと 煙を吐きながら上ってくるSLの姿は、誠に美しく勇壮であると記事に書いて あった。  ポイントに立ち、時刻表と時計を眺めながら、今か今かと心をときめかせた のが懐かしい。  爆進してくるSLのシャッターチャンスは、数秒である。夢中で撮った写真 は4,5カットである。すぐそこに、混浴の湯がありながら、無事SLを撮り 終えた満足感と帰路の汽車の時間の都合で、すぐ駅に取って帰えした。    "思い出は SL(エスエル)湯煙 湯布の里" 石川泥舟(コンクリートヨット) <<< ここは瀬戸内ど真ん中・坂本龍馬のいろは丸記念館のある鞆の浦 >>> <<< 凾c  De JA4QEY @ JM4WJT. 35. JNET4. JPN.AS >>> <<< ■■ QTH:Fukuyama-city Hiroshima-pref. QRA:M.ISHIKAWA >>>